内側の澱みの浅い所
『倉井学くんの弱音』
優しくされた時に感謝じゃなくて「すみません」と言ってしまう
落ち込んでる夜、家鳴りが舌打ちに聞こえる
咳き込むあの人、消臭スプレーを掛ける僕
せっかくの休日もああしとけばの振り返りで潰せてしまう
僕が近づくとその場で盛り上がってた人達が黙る
ほんと小さな悪意に大袈裟に傷付いてしまう僕
思うほど注目される人でないのに周りのヒソヒソ話や視線が全て自分であるような気がして苦しい
自分の特技や趣味を更に得意な人が目の前にいて皆がそこに集まっちゃう時の虚無感
曖昧な答えばかりしてるうちに自分の考えを持たなくなって相手は離れてくし
どうしてサイコでは無い筈なのに人に優しく出来ないのだろう
話しかけるんじゃなくて、話しかけられたいよ
明らかに何かが違うんだろうな…じゃなきゃ後から重大発表を知るってことないもん
自分なんかと関わらせてしまってすみませんでした
小林製薬でもないのに「あ、」が最初についてしまうよ
分かってないのに分かったふりをしてしまう
どうしても褒められたくてでっち上げの苦労話をする癖、なんとかしたら?
僕がすると笑ってすむ冗談も深刻になっちゃうね
死んだら泣いてくれるかい?
何を根拠にあの人より真面なんて思ってるの?
もういやになって死刑になりたいとか思っちゃうのね
………はぁ
『無題』
氷泥棒は走る、光の閉じ込めたその姿に見惚れて盗んでしまったのだ。
公園のトイレの裏側に回り込み、袋白いビニールを覗くと全て水になっていて
「僕が愛した光は何処に行った!?」と嘆きの果てに首を吊った。
沈むアパートの屋上でダイバーは海より深い空へと潜りこむ。
声だけの生き物が雨上がりの水溜りを揺らしていた。
眩しい顔がこちらを振り返る頃にそれらは全て萎んでいく。
彼は帰って来たのだろうか?
傷だらけの身体で重なるように抱き合えば
治癒した時にこの手と手は繋がるのだろうか?
弱い二人がいて、その中でも弱い彼は取り込まれることを選ぶ。
彼女は彼を何時か忘れてしまう程に強いと知っていたから。
囁き声が聞こえて、呼ばれてないけど近づけば沈黙の重力が支配していて
遠目に見ればいつも、どの場所でも蚊帳の外にいることに気付かされて
話し掛ければ、「なんでもない」と掻き消され「それなりに」と曖昧な返事が来る。
それなのに、人は私に正直になれと言う。
それならば、それらを止めて欲しいのだけど止めてくれる気配はないから
私は聞かれたことや出来事に嘘を混じらせ話しても良いと思っている。
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