あっちゃんの日記6
#2月24日
古ぼけた黄ばみのある空気の中で私は、何故か町のいたる所に落ちているボールを拾っては、それに書かれている文字を読んでいた。別に息苦しくは無かった。「あれは私が小学五年生くらいの話なんだけど~」「羽鳥アナが今年の漢字の一文字に韓って書いてさ、バッシング食らってるのに草薙君が怒ってる夢見たよ。」「…なんか最近、行動的だけどドヨーンとしてるよね彼女?」誰かの会話なのか?こんな感じのが沢山落ちている。そう言えば私は最近、職場の空気が何処となく重く感じて周りの人とあんまり口を聞いて無いなと思い、話題になりそうなものを何時の間にか手に持っていた袋に詰めていた。そうしていると同級生と出会った。だけど、特別仲が良いって訳じゃないから「うぅ…」って固まってしまった。仕方がないので私は袋から1つ「久しぶり、私の近所に来るなんて珍しいじゃない?」を投げた。彼は掌を翳すとボールはその中へ溶けて行き、少しはボールを使わずに会話が出来た。彼は落ちているボールを読まずに投げたのを私は不満に思いながらも受け取った。「ここは、交わされる事の無かった会話が落ちている世界なんだ。僕はここで処理するから、お前は好きなの持って行って会話に使ってやってくれ。」…朝。私は、あれだけ厳選して袋に詰めたのに全く思い出せないでいた。
#54月85日
水曜日だった。私は水浸しの部屋で、自分の体温により若干温かくなった毛布に気持ち悪さを感じ投げ出した。水着に着替え、浮き輪とゴーグルも用意して玄関から外へ。泳いで学校に登校する小学生を私はクロールで追い越した。職場までの道程は遠く、ジャスコまで気合で泳いだ後に二階までは浸かってないのでそこで横になった。チンパンジーがバナナボートに噛り付いて、それをのどに詰まらせて死んでいる。ジャスコはやってんのかやってないのか分からない状況で、煙草を堂々と吸っていても怒られなかった。高速道路に向かうと腰までの水深になるので、そこからはグイグイと地面をけっぱりながら走った。車が一台通った。私は水を掛けられて怒った。とっくに濡れているのに。
#2月31日
桜の木の下の死体を掘り起こそうとスコップを持って、根本辺りを掘ってみたけど骨すら見つからなかった。お父さんが「此処におるやんけ」と皮むきで木を剥くと真っ赤な汁が垂れて、拭き取ると中は筋肉だった。何時頃から道端に落ちていたのか分からないけど、肉まんを三秒ルールと言って口にして、通いなれたコンビニにカフェオレを買いに行く。何故かカナブンが結構な数うろついていた。
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