あっちゃんの日記3
#62月17日
イルカ位の大きさで大人の鯨が、産卵の季節になり川を上るニュースが流れていた。湖で子供を産んで、子供は人間で言うところの中学生位まではそこに住むそうだ。そこに行くまでの道のりは大変で、跳ねながら上る度に岩に腹を打ち付けるので腹は傷だらけで血塗れだ。中には辿り着けずに死んでしまうのも居るそうだ。それは近所の人が回収する。下りてくる鯨、これから上ってくる鯨の塞き止めになるから。ついでに鯨肉祭りを開くためである。下流は薄い紫の扇で澱んでいる。
#8月71日
水戸黄門様はある村を訪れた、朽ちてるに近い木で作られた家、継ぎ接ぎだらけの村人達の衣類。土は渇き切り枯れたような大根に水を一滴垂らして育ててる様な極貧の村。流石に見てられなかったので、村長にお金を皆に配る様にと渡そうとしたが断られてしまう。「お殿様から月一で貰うお金以外で生活してるのがばれてしまうと打ち首にされてしまうのです。」なんと酷い話だ、城下町で先ずは情報収集だと向かおうとした時に若い夫婦が不満を口にしていた。「あの腐れ外道が、城下だけ潤わせやがってこっちはいつ死ぬかも分からねぇ生活してんだぞ。」不規則に立ってる黒い案山子を蹴り倒した。その瞬間、村人達は大慌てで近くの家に入り込んだ。黄門様は訳も分からないまま家に上げてもらい障子穴から外を覗くと、真っ黒焦げの子供達が夫婦を貪り食おうとしていた。足を掴まれ、囲まれ、末梢から噛り付かれる。二人の悲鳴が響く、やがて頭を強く引っ張られ千切れてそれは止んだ。
#3月4日
首の無い雛人形が列を成してる。近づいてはいけない、首や髪を貰いたがってるんだか。今、首を持ってスキップして帰ってるのとすれ違った。彼女は私の友人だった。どうして、この日はこれに気を付けなきゃいけないって分かってたじゃない。私は、震える手で煙草に火を付けながら歩く。曲がり角で、首の無い死体と会った。なるほど、死角になっていたんだ。立ち止まって悲しんでいると足に何かがぶつかった。足に目をやると、雛人形がそこに居た。
#12月34日
アナーキーダンスが始まってパトカーが沢山町を埋め尽くした。夜の淵で反復横跳びを試みると貴方は日差しの底に落ちて行くだろう。給水塔に登り揺れる底を目掛けて望遠鏡で覗けば、流れない星は腐ってしまう事を知ってしまうんだ。その不安を種にして、三月に芽吹かせたら蜜を持ってく雄蜂は仲間から疑われてしまうから早く潰してしまうと良いけど、袖からポロポロとそれは溢れ出る。
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