『未知案内してくれませんか?』

「え~と…そこのT字路を右に曲がると、青い自販機があるんですよ。上段の右から三番目のマリーゴールドの描かれた金貨を、10枚程先ず買うんですね。そしたら暫く真っ直ぐ歩いてくと、“シュガーレス・シーの詩集。本日発売”って旗を立てている本屋があるんで、そこに入ってもらってお婆ちゃんの座っている所の直ぐ左にあるドアを開けてもらって、階段になっているんですよ。入る前にお婆ちゃんがスッと手を出すので、先ほど買った金貨を渡してあげて下さい。ずっと降りて行くとまたドアがあるのでそこを開けると、一面水色の空間があって、これでもかって言う位に青い湖?が広がっているんですね。勿論、小舟は用意されているんでそれに乗って貰えば大丈夫です。え?…ああ、途中途中で標識が建っているんですよ。“クレセントリアのビスケットはポッケで砕けた”とか色んな事が書いていますけど、矢印に従ってもらえれば大丈夫です。向日岸に着くと、トンネルが在るんです。幅は二人分ですかね?道にすると5キロ程でしょうかね?歩いてる間は色取り取りの魚や鳥や街並みがトンネルの中を映し出すのでライトが設置されてるわけではないんですけど怖くは無いですよ。ただ…途中で、黒いマントで体を隠してる人が向こうから歩いて来るんで、その人の顔を覗こうとしたり、振り返って様子を窺ったりしてはいけないですよ。…トンネルから生きては出られないと思った方がいいですね。トンネルを抜けると今度は桃色の何かの肉の壁に包まれた空間に出ます。壁は柔らかくて生きてるんでしょうね、クニクニと動いたりもします。粘り気のある白い川を辿って行って下さい。途中で二手に分かれる所があります。その時によって違うんですけど、間違った道を選ぶと黒い宇宙を彷徨うことになるそうです。でも、それで良いやって思えるくらいに綺麗なんだそうですよ?僕は続きの道しか選んだことが無いので分からないですけど、正解の道を選ぶとデッカイ透明な球体の機械があります。それに乗るとフワフワとシャボン玉の様に空を飛ぶんですね。後は眠ってもらえれば大丈夫です。起きた頃には、色々忘れてまた新しい生き物として産声をあげるのです。どうして僕が忘れないでこんな事を繰り返してるかって?僕はそのシャボンが割れるんじゃないかと心配で寝れなかったんです。それが始まりでした。そのお陰で忘れずに済んだのです。で、今度は居なくなってしまいたいなって時にこの方法を知らないでもがき苦しみながら生きるのが辛いので寝なくなりました。かれこれ12回は繰り返してますよねぇ…。別ルートもありますけど聞いときます?」

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