あっちゃんの日記2
#1月17日
巷ではある呼吸法が流行っている。虫の息ってのらしい。
外では皆が虫の息で、横たわっている。たまに何でかビクッとなる。
四肢の力を奪われたかのように倒れ込んで
その後は疲れるまでジタバタして、暫く仰向けに寝てると体が軽くなるらしい。
町の中心では皆が虫の息。あんまり過ぎたのかな?
おばちゃんが強い風に転がっている。乾いた音、カサカサと音をたてた
私はそれを突っついてみるとパリッと壊れる音がした。
健康のためなら死んでも良いって言葉を何処で聞いたのか忘れたけど
私は思い出したんだ。
#11月10日
言葉を発せないでいる。
ジャスラックが権力を増した世界じゃ全てが著作権に触れて
使用料が取られてしまうんだから。
この日記もこっそりと自宅で書いている。
バレたら100万円くらいは払わされてしまう。
反町が昔言っていた「言いたいことも言えないこんな世の中」
私が生きてる間になってしまった。
テレパシーはまだ人類は使えない。
肉体で伝えるのには限界があると思うこの頃。
#6月8日
逆子のお月様を眺めてた。心肺蘇生で星が吸い寄せられては離れてく。
無口な二人の間を天使が「喋らないの?」って言いたそうな顔で横切る。
知らない小父さんが猟銃で天使の頭を打ち抜く。
「こいつの身体は汚れた人たちに高く売れるんだ。」と喜んでた。
私は羽を一枚頂いて、インクを付けて久しぶりに詩を書けた。
部屋だけ残して連絡の取れない、かつて仲の良かった彼の事を想いながら。
そうね、互いに理解者ではなかったわね。
私は題名よりも中身を褒めて欲しかったもの。
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