あっちゃんの日記
#11月23日
「この指止まれ」と言って、人差し指を天に向けた子供がいた。
指先は小さな炎が点いている。友達が集まって指の火を消す。
「何するの?」「う~んとね、かくれんぼ?」「普通だわさ」
私は公園のベンチに座りあの子たちが何をするのか見守ってたんだ。
すると、一人が大声で叫んだ「良いこと思い付いた!この指止まれ!!」
相当な閃きだったのだろう。斬新な発想だったのだろう。
物凄い勢いで火柱が上っている。彼の発想に近づきたい子供達。
衣服に火が燃え移り、体に火が移り炭になっていく。
「うわぁぁぁぁ!誰か、この指止まれ!早くしないと切れちゃうよ!」
あ、蝋燭一本、きーれた。
#3月25日
花粉症でくしゃみが止まらない。最近のは余計に質が悪い。
女子力に反応するみたいで、女子力が高い人達はクシャミをしたら
背中から孵化するかの様に内臓をヘックシュンと撒き散らした。
私は良かった。人として未熟で、魅力が無くて本当に良かった。
だけど、今日…憧れでもあった友達を花粉症で亡くした。
私はクシャミはしないけど目を掻いたし、鼻水も止まらなかった。
一方で津波に飲まれて、魚に摘ままれた人達が魚人となって帰ってくる現象があった。
だけど、陸じゃ呼吸が出来ないから皆、砂浜で息絶えたよ。
巨大な水槽都市を設立しようよと私達は市長の所に走った。
市長は花粉症で死んでいた。窓に内臓がこびり付いている。
「市長は、オカマだったんだ!!?」
#8月8日
ジュウナナネンセミはこの日、地上で成虫になる。
だけど、寝てる間にかつては山だった土地はアスファルトが敷かれて
今じゃ立派な大都会になっているんだ。
そんなことを知らないジュウナナネンセミは困惑した。
「何時になったら、地上に出れるんだ…?さっきから石ばかり」
横に随分と進んで時々、上を突っついてみるけどやはりアスファルトの下。
「ヤバいよ!背中が破けちゃう!!此処で成虫になっちゃうよ!」
ベリベリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!
白い乾かない体に土は重く、痛いものだった。
重みに耐えれず体が押し潰れている。
そのまま乾いて変形した体でミーンと鳴いた
「誰か助けて」と鳴いた、泣いた。
地上で人々の行き交う足の音、車を走らせる音だけが聞こえる。
田舎出身の成人男性はアイスを食べながらこう呟いた。
「あちー。しかし、都会ってセミとかカブト虫いないのな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます