短編詩#29
『Mild Mind』
小脇に抱えた水を 何処まで持って行けるかな
上着が段々と吸っていく 金属製の気持ちだけじゃ無理だよね
お前の頬にまで 夜明けの最も長い丘まで届けたい
ただ眼を閉じて 俺は濡らしてみたかったんだお前全て
無色透明で薄め汚し 俺に染め上げたかったんだ
許せよそんな事をするの 後は蝶に弄ばれるしか無いんだから
Mild Mind 薄味の心に注いでみたかったんだ
Mind Mind まろやかに針を生やしたかったのさ
Mild Mild そんな俺の心も同じ仕組みで出来てる
Mild Mind
メルトダウンしそうな 愛情を受け止めて熔けたいよ
胸の真ん中のハートはきっと 骸骨になっても光輝いてる筈
ボトルの船は行くよ その中の海の風向きを知り
風見鶏は吹かぬ世に置かれたら 何を指すのだろうね
Mild Mind 薄味の心に注いでみたかったんだ
Mind Mind まろやかに針を生やしたかったのさ
Mild Mild そんな俺の心も同じ仕組みで出来てる
Mild Mind
街路のベンチに腰掛ける 樹に話し掛けた
悪い空気が吸いたくて たまらないだろうって
黒い瞳の奥は 宇宙の軌道と重なる
お前のその中に 吸い込まれて映りたい
乾されてる上着が 逆風に向かい泳ごうとしてる
風すらも知らぬ その先を目指して
冷めたスープは味気なくて まろやかな塊が浮いてる
早く飲み干そう 夜に地上が潰されてしまう前に
Mind Mind
『stand by me』
飴玉一つから君と会えなくなるなら
僕は君に買ってあげるか 変わりに僕が居なくなる
stand by me stand by me stand by me
君がもしも陰謀に汚される事になったなら
僕は君を助けに行くよ 神様のカルマだったとしても
stand by me stand by me stand by me
君が自由を望んで諦めて涙するならば
僕は必要なら海の砂金を全て集めてみせるつもりさ
stand by me stand by me stand by me
本当に居なくなったとして その距離は限りなく遠いけど
それでも君の前に現れて 僕は君を助けて見せるから
stand by me stand by me stand by me
『車の中で溺死した人間』
吸った煙草は寒さに青くなった
粘着の泡を夜行で見かけた
切れかけの街灯は瞬きをして
電気をくれと供給される
今はアナログが似合わない
骨が白く全身が透けている
青色に発光するデジタルな魚
空中を微かに線を描きながら泳いでいる
蛾がそれに縋る気持ちは何だろう
川に掛かる橋の真ん中
不安の種を蒔くと
それまでの流れは嘘のようで
段々と迷走に止まり
来た道へと引き返してく
空中を埃が舞う
空は地上の方が眩しいと諦めている
雲の隙間を潜り照らす黄金色
何かが連れ去られてしまいそうで
流線形の火は地を這いでアルミ缶に当たり
零れた気の抜けた炭酸水に消火され
焦げた甘い臭いは車輪に巻き込まれた
60'sの車は今から港に向かう
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