簪が似合うから、染料買っておいで。

損な事は言わないで欲しい

貴女の声は鶯で

酒を飲ませて見た

提灯のぼやけた線の輝きへと足を運ばせるのです

私は些かその声で歌う詩が好きなのです

白い陽射しが地上を隠す海にて

焼かれた砂浜が濡らされて

崩れる中に見せる砂金の様な微笑みを抱いていたいのです

私は貴女の崩した着物が好きです

その隙を見せる弱さに私は溺れているのです


私は貴女ほどの者ではありませんが

傷を付け様とする軟らかい綿からも

守ろうと思う気持ちで御座います

私は永久に廻る詩の道を歩く貴女の傍で

変わらないでいようと存じているので御座います

どうか後ろばかりを歩かないで下さい

爪は甘くは御座いません

無味で有られます

貴女は出来ていたのです

楽の笑顔が似合います壷に詰め込まなくて良いのです

私がそれを受け取るつもりです


似合います 似合います

簪がとても似合います

光線の春が似合います

薄くほほ笑む顔が似合います

原色と白黒の混ざった和服が似合います

煙草がとても似合います

私は籠の鳥の様で

開いた窓に寄る貴女が待ち遠しいのです

飛べる貴女へ染まる線材を買って来て欲しいのです

貴女に喜んでもらえる気がしてならないのです

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