レントゲン(Yellow 8603Ver)

水銀の骨格が死線によって明かにされた夜は

互いに探り合うライトの中に蒸発した


白紙の様に潔白であったその眼は

世と同じ焦点を持たずに瞳が回る

地上波に映すことが出来ず

規制せよと奇声を発する

神経蜜の躍らされ寄生虫により

それは電波の河を流される事がなかった


スチール缶が体温を飲まれていく

港の鴨は言うのでした

「海月は海でなく、夢に漂う。」のと

私は海月の傘の様な頭を掴み掬い上げた

濡れた冷たいゼリーの様な身体に頭を乗せる

まだ遠いのに風鈴の音が聴こえて来て

やがて小さくなっていく

眼を閉じてるが吐息の白さを感じた

今 漂っているのだろうか


温かを知らぬ化学の機械に

スチール管を入れてオイルを通した

巡る度に機動してる

心臓のエンジンが設置された胸に手を当てる

生きてるんだと思い込んで

唇が欲しいと頼んだから

もう錆びた山に埋もれている


繋がらぬ詩を鳥は歌い繋げる

この作業は無意識に行われている

今もこうして翻訳家が解析をする作業は

意図的に行われていく

巻き戻されたかの様に砂は

自然に寄り添い城を創るかの様で

空には雲が耕され

宛ても無い風により出荷されていく


随分と昔からまぁ

何も変わらず写してること

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