色褪せる町

生活音を余りにも聴き過ぎて

今日もまた 町の道路を阿弥陀籤の様に

辿る救急車のサイレンの色と音を

ベランダから眼で追い掛けた

誰かの不幸が羨ましく思えた


私は無味の水をコップに一杯飲み干し

薄く汚れたキッチンの銀色を見ている

テレビが電波を借りて複数で笑う

チャンネルで画面を伏せさせた


煙草の煙が換気扇から逃げる

匂いだけを部屋に残しながら

会話も泡に包まれて飛んでいく

鬱蒼と茂る町 色褪せるメロウに汚して


橋を行き来する 青い色のナンバー

加速いつもしているんだ 寂しいからって

夜に スリップの音を空間に拾わせてる


私は此処で 日常を二畳で済ませようとしてます

地球規模で二個も必要か疑問を持っています

安いウィスキーは37℃で人肌が軽く手に入る

私は決して薄めたりはしない


深呼吸の吐く息にまた酔いながら

ぼやけた町の線を見ていたよ

空間が光りを掴み引っ張ってるるみたいで

綺麗だから詩に書いて火を付けて町に投げ入れた

逃げる蛍みたいに明かりを消して消えたから

私もおやすみなさい

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