栗の花

女に潔白を売る事にした

淫らな臭い箱の内側で

果物が生まれながら付いてるその身体に

甘味の支配する舌先を林檎の胸に手繰り寄せ

拭き取る様に押しつけて舐め転がす

聞いた事の無い桃の吐息が

声と共に霧散して行く


酸味の効いた蜜で拵えた後

背中側から溶かす様に

柔らかい膚を揉み解す

肺の収縮を硬い胸で受け取った

走り回った子供の頃みたいに

桃の吐息は早くなる

栗の花は閉じたまま

粘膜は隙間をなぞって垂れ落ちる


聳り立つ塔を崩して

内圧を高めてく

先まで開いて閉じてゆっくりと

帰りし場所は幾らでもあり

噛み止める鞘に最初は収める

女は栗の花を捏ね始める


女は閉じた栗の花を片手で開き挑発する

白の粘膜はザラ付いている

獣が何処からかやって来て

私はその言葉に同意する

いいだろう

その真ん中を蜜蜂が花粉を奪う為に

足で擦り犯す様に

潔白を捨てたばかりのこの女を

魚の様な顔の見えない瞳に変えてやる


交通が止まらない

止めようと伸す女の手を押さえ

絞められる花を転げ回る蜜蜂みたいに犯す

私の潔白はとうに茎の隙間に押し込まれたが

私はまだそれを続けていて

山を何度も上り下り繰り返した

黄色く汚れた潔白が染になっていた

身動きせずに押し込んだものを零す女を

私は見もせず箱の外へ出た

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