チトカセ

柔らかな風は浜辺の僕を潮匂いに唆せて

砂の城は乾くまで崩れないから

白いワンピースに麦わら帽子

微笑む波の声の方

居なくならないで欲しい

そう願った

かき氷はいつの間にか冷たさを無くして

空へと広がる

ブルーハワイの液体

紙コップ

白く輝く太陽に透かして見れば

光は突き抜けて

僕の顔を青く照らす

その優しさに嘘なんて無いから

通り過ぎて行く物に

君の蜃気楼が見えて

帰っては広い部屋

角で怯えてみせてる

壁は突き抜けないから

誰もいない平日の海に

君を押し倒してみたい

眼を閉じて

胸の鼓動を感じる様に

海中の揺れに身を委ねて

声に耳を傾ければ

重なる確かなものがあって

いつの間にか

呼吸も忘れるくらいに

溶け込んでいて

分かち合えるだろうか

苦痛も幸せも横取りして

拗らせてしまったりさせないだろうか

明るいけど手持ち花火は

君の火に点火する

ごちゃごちゃした気持ちは

楽しむ振りして

届かない向うに

幸せだと八つ当たりした

日が暮れてた海に足をつけて

線香花火に火を付けよう

落ちない様に消えない様に

冷やかしながらも見守る潮風に

君の支える手を上から握る

この全てが

夏の白昼夢だとするなら

どうか醒めないで

夏だけの恋ではありません様に


透き通る柔らかい唇

羽根を休める様におやすみ

吹き抜ける向かい風に

靡かせる黒髪は氷の入った

炭酸レモンの様に爽快で

僕は視界に君は住んで見えた

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