CENTRAL COLA DAYS

♯1

まず始めに観覧車出来た

人々はそこに集まる

上を見上げれば

雲よりも高く

見下ろす景色はさぞかし楽しい事だろうと

トミーはシンディを乗せて上を目指す事にした


彼は密かに指輪をズボンの後ろポケットに忍込ませていたのだ

私はそれを確認していた

ベンチでジャムセッション集を聴きながら

トミーは天辺の美しい景色で告白する事を願っているんだ


シンディは気付かないふりをしているのかもしれない

シンディは昔からホームビデオでのドッキリ時の微かな空気の違いに気付くんだ

昔から言われている事がある

シンディでホームビデオは作れないよと

恐らくトミーの変わりなく振る舞っている態度に違和感を感じているに違いない


二人は観覧車で愛する事を誓うんだ

そこはベンチからじゃ見れないだろうな

帰って来た時の頬を赤く染めた二人の顔を見たいのさ


だけど


雲の中に二人を乗せた観覧車は居なくなったんだ

それが最後の景色だったんだ

この観覧車は降りた人が居ないんだ


青い鳥は間を上手く通り抜けた


今じゃ観覧車は立ち入り禁止になってロープが張られている

受付口は怒り狂った親族により

目にするのが痛い

吐き場の無い言葉が書かれている

トミーとシンディの親族も事件後の常連だったけど

つい最近二人の葬式が行われた

二人の骨は無いけど

墓石には二人の名前が刻まれた


観覧車はまだ回っている

降りた客はまだ居ないからだ

いつかきっと降りてくるだろう

そう言う希望が込められて回っている


ジプシーと言うおじさんは

梯子を造っている

8才の孫に当たるクレンディ君が

上で待っているんだそうだ

だけど此所は自殺の名所でもあり

毎回自殺が乗って行くのだ


ジプシーおじさんは

その人達に孫が居なくなってしまって悲しいから

君達も悲しませる様な事をするなと説得をする

ジプシーおじさんが来たお陰で

観覧車自殺は大幅に減ったんだ


だけど


説得されるから死ねる勇気が無くなったと

理不尽な理由で梯子を造っている最中に

ジプシーおじさんは突き落とされてしまったんだ

鉄の床に頭を叩き付けられて脳味噌と血が広がっていた


私はイカれているからポップコーンを零しながら笑っていた


やがてそこは海になる


トマトを持って来て

広がる血に叩き付けて笑った

突き落とした男にはトマトを喰わせた

男は重度のトマトアレルギーで身体が破裂してしまった


私は警察に殺人容疑で逮捕された

ジプシーおじさんは後にトマトの成分のせいでトマト星人が死んでいたと扱われた




♯2

メリーゴーランドは

それから間もなくして出来た

回るだけの乗り物にどうして乗りたがるのだろうと

疑問を浮かべてそれを食べた


悩みはお腹で解決した


私も乗る事にした

サンディと言う娘は

援助交際から恋を見つけようと待ち構えていた


一つだけ赤い馬が回っている

そこに二人で乗れるのを待っていた

その赤い馬に乗ると結ばれるそうだ

私も隣り人がいるなら乗りたいな

でも居ないから

赤い馬の魔法を近くでみようと

隣りの白い馬に乗る事にした


波は引いてから帰って来ない


私はマナーが無い

コーラを飲みながら

回っていた

メガホンがメルヘンティックにノイズを混ぜて聞かせるその音は

コーラの揺れてなる泡の音を消せず

崩れる氷の音も消せなかった


サンディ

その恋はきっと難しいは

赤い馬に今

乗っている人がいるけど

これは催眠術でそうなる様に仕組まれてる

私はイカれてるからならないけど

実はどの馬に乗ってもそうなの

サンディは恋が出来るかというアンテナを張らせているから

それが仇になりそうよ

サンディは催眠術に掛らない

乗せて好きなられてもサンディの隣りに残るのは疑問だけよ


要は援助交際から素敵な恋を探すのは止しなよ

愛読書は“LOVE SECTOR”でしょ

ならあなたも知っている筈よ


私達と変わらない女子高生は

素敵な出会いを求める為に基地を建てて

そこでの人間模様を描いた話よ

援助交際作戦でトラウマになってる千登世は

実行しようとした柳瀬を止めた


それ程危険なのよ

恋はそこには住んで無いのよ

けど柳瀬は援助交際をして

当たった相手に首を締められ殺された

それを分かってサンディはするのかい


でも私は所詮他人

止める権利は無いのかもしれない


私は諦めて帰った

翌日

テレビではサンディが殺されたと報道されていた


メリーゴーランドに恋なんて住んで無いのよ




♯3

遊園地のメインとも言えるジェットコースターは

メリーゴーランドが出来てからだいぶ時間が掛かった

ここはそれまでの間に小さなアトラクションやレストランなんか建ったよ

恐らく今が一番この遊園地の輝いている時


声は線を辿り行き着くのだ必ず


ここのマスコットキャラクターはパンキーと言う兎なんだ

目の視点が合ってないのは

同じくマスコットキャラクターのガブルルと言う狼がハンマーで頭を叩きすぎたからなんだ

必死に逃げているって設定さ


だからパンキーはガブルルを見掛けたら逃げなきゃいけない

風船を配っていても逃げなきゃいけない

子供は泣くだろうね

けど振り向く時

その焦点はガブルルにあるんだよ


ジェットコースターはエスカレーターで登る事から始まる

かなり長いから大変さ

トイレは早めに済ませとかなきゃならない

ここのエスカレーターは登りだけ

漏らしたなら

風圧で乾かしななんてアメリカンにありそうな台詞が書かれているのさ

パンフレットに


一番上に着いたら当然ジェットコースターがある

下を見れば

鳥が下を優雅に飛んでいるのさ

だけど自慢げな飛び方はしない

僕達が鳥を見下ろせる様になってしまったのさ


中でも人の食べカスがあると住み場にしているカラス達は

餌だけを摘む日々を送っている

気を使うのは私だけさ

昔から鳥になりたかったからね

鳥の鳴き真似が上手いんだよ

私は自分が何を言っているかは分からないけど

鳥はみな会話をしてくれたのさ

最近は鳥とも人とも会話をしていない

私がイカれたからだろうか


このジェットコースターの特徴はひたすら高速で下って行く事にある

地獄に墜ちろって看板が着くとさ一番に目に付く

私は一番後ろに乗った

三つ前バカップルがイチャついていた

前に乗った親子にちょっかいを出していた

腹立たしい

そこの怖い人

後ろに乗ってやりなよ

こいつらなんとかしてくれないかい

しかしあんたは前に乗った

あんたは後ろにいるから迫力あるんだろうが

まぁ人の自由さ


鳥の鳴き真似をした


下る

人生で一番の風と速度を体験している

そんな中でも遠くの建物はゆっくりと沈んで行く

悲鳴は聞こえない

これは最高さ

最高の恐怖

私は手を挙げて笑った

声は後へと置き去りにされた


雀の親子は羽根を休めていた

けどもう助からない

私は後でそれを悔やむ事しか出来ない

悔しかった

血の一粒を私は

確かに確認した

ゆっくりと時は動いていた


下に着くまでの

僅か3分の出来事である


CENTRAL COLA DAYS

ここは少しばかり悲しみで出来ていた

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