金釣り

札束や小銭を餌に

釣りを始める事にした


電柱や高い屋上

高い床

釣り糸は何を吊る?


小銭を通り過ぎてく

人の隙間

チャリンと沈める

多くの人はその値 色に聞く耳を持たないのである

小汚い乞食のみが地面に吸い付く様に


知らない筈の鳥や猫が今日は持って何処かへ行きました


大きめの小銭

気づかぬ人多し

見つけた人

笑みを浮かべズボンのポッケ

私が釣ったのは

あなたの隠した小さな幸せです

電車で一駅先の旅でもどうぞ


お札を一枚

ゆっくり沈める

人は気づく

やがて多くの人がそこに目を送り

手を伸ばし掴もうとする

現実者が横を通り過ぎる

そうそれが在り方

釣られに来る魚は居ないのです

魚と違い表情があり

間抜けさが釣り糸を通し伝わります

これならどうかと

札束を現実者の方

風に流したのです

人は行きます


そこのあなた

手を繋ぐ親子の手を引き離しましたね

一人 道路に飛び出して死にました

明日は写真を撒くことにしました


札束を沈めました

亡者が釣れたので

釣り糸を切りました

死にました


女が釣れました

考えが浅いのか深いのか分からない生き物です

釣り糸切りました

死にました


中年が釣れました

私は餌を燃やしました

中年は釣り糸で家族と心中してしまいました


金の延べ棒一本

沈めました

ミサイルが一つ

秘密が二つや三つ

やがて国が釣れましたが


平和の二文字が釣れないのです

そして大金の金額が上るにつれ

その言葉は遠ざかって行くように思えました


私は何か虚しさを感じて

札束を捨てました

テレビのニュースが釣れました

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