ノンレムの夢

夢を見ていた

その時は知らないがその世界に私の肉は有ったのだ

モヤモヤとした煙草を吹きかけたような白い雲に

危なっかしい狂気じみたピンクの空がこの世界の色だ

近くの牧場にて牛は只草を毟り取り

馬は柵を越えれず刺さっているのであった

森に入る小さな道があり飛び越えられる小さな橋をあえて渡った

橋の下にはガソリン色のした川が流れていて

ボウフラが不器用に泳ぐように魚が顔ひとつ変えず泳いでいる為

気分が悪いから見るのを止めた 


森に入ると青林檎が話しかけて来た

口はないが話しかけて来た 直接脳に

もぎ取り齧るとこの世のものとは思えない悲鳴を上げてやがて大人しくなった

暫く歩くと一枚だけ七色の葉があった

その葉を手に取り眺めてると女がやって来てこう話したのだ

『私、葉売りのスキー。その葉くれるのなら何処まででも辿りつけるマントをあげる。』と


その葉を交換してマントに乗り飛んで行くのであった

アラビアンナイトを幼い頃

母が読んでくれたのを思い出した

ピンクの空がいつの間にかなくなると青い空が待っていた

この辺りはただ渇いた地面がずっと広がっていて

見えやしないのに波が引く音が近くからする

蟻が群れをなして向かうのは妙な程に実をつけたヤシの実だった

自分も食べたいので取りに行くと手から零れ一気に蟻が群がりある蟻がこう言った

『多くの蟻がこの実を取るのに犠牲になります。50個取ってくれるのならどこまでも照らす青い石をあげます。』と


夜になる不思議と私の周りだけは空が青いのである

蟻が言うには 夜に嫌われた石だそうだ

宿谷があり泊まろうとすると

同席していた鰐の頭をした盗賊が剣で右腕を切り落としに掛かる

覚めろ覚めろと願いながら飛び出ると

青い石が部屋を照らしていてマントはフワフワ浮いていた

しかし右腕が無くなっていた

あれから何回寝ても右腕にはまだ出会わないままだ

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