おばけ

もう隠れてないで出ておいで

此処には君の家を荒らそうとする人はいない

すると脅かす姿をしているとは思えない可愛らしいおばけがいた

おばけはすっかり森と一体化して

古い人しか知らない屋敷にただ一人住んでいた

言葉を話せないおばけは必死でジェスチャーする


淋しかったろう来る奴は対外ろくでもない奴で

君の姿をテレビや好奇心で映そうと入り込んでくるんだから

僕はおばけの友達になろうと思いやって来た

すり抜ける彼は鬼ごっこが得意だった

全力で追いかけて壁をすり抜ける

止まれずに激突した事も多々あったが

そんな時でも君は追いかけて来ると

必死に逃げている無邪気な存在だった

屋敷を出て森でのかくれんぼ

木漏れ日に触れた瞬間君はふっと消え

屋敷に戻ると薄くなっているおばけがいた

次第に濃くなっていき

事情をジェスチャーする


市長が変わった

町を一気に活気にすると森林伐採を心んだ

森の動物たちはどうするなどの意見もあったが無視をして実行し

反感を買ってショベルカーが爆破され工事員は鶴嘴で殴られた

すべての元凶である市長は

背中に恥と大きな入れ墨を彫られて自殺した

葬儀ではうつ伏せを見せて焼かれた


全てが終わった感じたが結局屋敷は壊された

おばけが途中であった怪奇現象の正体なのは分かる

僕らが朝に反対をしていた時

おばけは遠くで見ていたのだろう

おばけとはそれから合わなくなった

僕はもういいかい

ひとりでかくれんぼの真似をしていた

きっと返事が来るような感じがして


背中を叩かれて振り向くと

煙がふあっと上がっていった

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