飛行船

飛行船が街の上を通り過ぎて行く これは実験であった

烏が飛んで来て突いたら風船みたいに爆発するのか

ただ上へと昇るだけではないのか

それを表向きは調べる為の実験だった


飛行船が僕の真上を飛んでいる

僕は作られた陰から出ない様に追いかける

そんなことを知らずに

サリバンを船長としたクルーは

メインディータウンを後にする


彼らは地球は丸いけど繋がっているのか

今じゃ当たり前だろって言える話だが

何となくそうじゃない気がして本当は旅に出たのだ

僕は飛行船の陰から結局出てしまってから


奇麗な雨が降って来た

緑色の奇麗な雨だった

だけど僕の白いシャツに

その色は染み込まなかった

すると今度は向こうから霧がやって来た

テレビ中継で現場を映すが全く分からない

遠くでレイプの声が聞こえるが

酷い話だが全国民が黙認をしたのだ

しかしその中でもハッキリとした

何かがやって来た 飛行船だ


多くの人が飛行船を目撃した瞬間 霧は晴れた

人々は空を見上げる

空から海藻が降って来た

肉屋のテンシーさんはキレやすい性で

顔に当たったのに腹を立て

ショットガンを飛行船に向けてぶっぱなった

すると膨らんだ部分から海水が溢れ出した

飛行船は勢い良く広い無法地帯に墜落する


街は海水塗れになった

どういう事だと

数人が室内に入り込んだら

サリバン船長とクルーは

苔の付いた白骨になっていた

空は空でなかったんだ

何処かに繋がっているんだ

違う処に

身を呈して僕らに知らせたんだ

特殊警察が室内を操作して

遺書を見つけてそれを知った


「私は、鳥が羽ばたいてる最中に消えてしまったのを見た事がある。しかし同じ体験をした者が居なかった為に、私は幼い頃は妄想癖のある少年と言われたものだ。私は、空にはまた別の世界に行ける扉がある気がしてならなかった。だから、同じ体験をした者達を集めてそれを証明する為に旅に出る事にした。しかし、詰めが甘かったカメラを忘れてしまった。目の前に広がるこの別の世界を残せない。元々、帰れる保証は何処にもないのだ。死ぬまで此処を旅し、死んだ後に再び帰って来れると願い今はただ…。」

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