潜水
人の居ない市民プールの朝
蝉の鳴く声
車が通る音しかしなくて
僕は真ん中の第5レーンで
それ以外の音を合図に潜水しようと構えてる
今日は市の祭りで花火が打ち上げられた
それを合図に僕は飛び込んだ
水中に潜りこんで日焼けした肌が
擦られた様にヒリヒリするけど
そんなのもは直ぐにどうでも良くなって
母の羊水に居た時の事を
必死で思い出そうとしている
体を丸め呼吸を捨てる
小宇宙の羊水は
少しばかり静寂の音を出していて
知らないうちに子守唄にしていた
気がつくと僕は精子になっていた
その身を必死に動かした
この中で僕は卵子に出会えるだろうか
唯一邪魔なのはお互いの生命の時間
祭りが終わってプールに潜りに来た人達が
赤子になった僕を見つける
それは人の居ない朝でした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます