第14話 魔王の脅威


 うちらは船に乗って北東の一部だけ浅瀬になってるところに、田舎の城からパクッてきた壺を放り込んだ。壺がものすごい勢いで海水を吸い込んで海が干上がる。そしたらそのうち、沈んでた陸が浮かびあがってきた。船が水の流れに乗ってものすごい勢いで吸い込まれて、揺れてうちはビビりまくる。戦士さんが支えてくれたおかげでうちはなんとか海に放り出されんで済んだ。ほんまにこわかった。

 沈んでた陸地にはちっちゃい祠があって、その祠にはえらい古い水死体と一緒に最後のカギが落ちとった。息子さんが死体には目もくれんとカギを拾いあげる。うちは無駄なことはせーへん息子さんの代わりに、手を合わせてこの人の冥福を祈った。



 船をもうた港の国から南に向かって、途中の祠で「エンカリセ」してからさらに南へ向かう。あたりが暗くなった頃に村について、息子さんは牢屋のカギをあけてそこに捕まっとった囚人に話しかける。囚人さんは緑色のオーブをうちらにくれた。これが渡されへんかったのがずっと心残りやったって言うとった。「ああ、これでやっといける」どこいくつもりなんやろ。捕まってるのに。

 うちらはその村で宿をとって二階の部屋に引っ込む。

 寝よおもてベッドに転がって目ぇ閉じたら、息子さんにいきなり引っ張られた。

「な、なんですか」

「おまえ、よく寝ようと思えるな」

 あたり見渡したら、朝になってる。

 そんで、


 うちが寝とったベッドの周りは床板が剥がれとってめちゃくちゃやった。うちは悲鳴をあげるのをぎりぎりで我慢した。あたりには白骨化した死体がごろごろ転がってる。そないに古いもんやない。のになんで白骨化してるかいうたら、魔物がきれいに食べたからや。骨から肉剥がして筋も全部とって、骨しか残らんくらいにきっちりきれいに全部食べたからや。吐きそうなった。

「夜のときの様子はなんやったんですか?」

 訊いてみたら息子さんが「牢屋にいた男の無念にオーブの魔力が反応したんだろ」て答えてくれた。

 そっか。せやったんやね。

 これでやっといける、いうのは、天国いけるいうことやったんやね。

 息子さんは宿屋の金庫から「夜のランプ」いうアイテムを引っ張り出す。

 うちは骨だけの宿屋のご主人に向かって手をあわせて「すいません、使わせてもらいます」言うた。

 うちらは村を出る。うしろで誰かが「役立ててください」言うた。

 振り返ったけど、誰もおらんかった。

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