第7話 盗賊団vs盗賊団
キメイラの翼でブクマした城から今度は北西の方へ歩いていくと、なんかぽつんと塔が聳え立っとった。しかしこの塔、誰がなんの目的で作ったんやろ? 随分立地不便やけど。もしかしたら元は灯台とかそんなんやったんかもしれへんね。
やっぱり息子さんは誰に聞いたわけでもないのにどこになにがあるのか全部わかってるみたいに歩いていく。千里眼でももっとるんやろか、この人。すごい。
あと、わろてごめん。あの鞭めっちゃ強い。むちむちや。魔物いっぱい出てきてもばちぼこいっとる。すごい。無知なんはうちのほうやった。うちの魔法なんか足下にも及ばん。まだうち火炎呪文しか使われへんもん。泣きそう。無知なうちはいまさら厚顔無恥にも鞭を買(こ)うた息子さんを褒め称える。
塔を登ってったら覆面被った乳首浮いてるぴちぴちのタイツのおっさんが鎧身に着けた部下と一緒におった。「自分は神田だ!」言うてる。なんやこの変態。服着ろや。目のやり場に困るやろ。いまどき乳首なんかちょっとえっちい少年誌でもNGやぞ。R18やぞ。
こいつらはこの地方を荒らしてる盗賊団らしい。やっと世界救うっぽいことできる! ってうちは意気込んだけどよくよく考えたらうちらも盗賊団みたいなもんやった。落ち込む。
これもしかしたら「縄張り争い」いうやつでしかないんちゃうやろか。一個の地方に二個も盗賊団はいらんおもたから、違う盗賊団蹴散らしにきただけちゃうやろか。だってこのおっさんら、たしかに悪いやつかもしれんけど魔物とちゃうやん。別に人殺してないやん。いま緊急でやらなあかんことなんやろか、これ。優先順位間違えてないんか。うちらがいまやらなあかんことはほんまに、乳首浮いとるびちびちのおっさんを鞭でしばくことなんか? かつてないほど盗賊さんの顔がいきいきしてる。戦士さんも逃げ回ってばっかやったのんが武器振れて心なしか嬉しそう。
うちはやくくさ使う係やってた。
帰りたい。
足を洗いたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます