第43話 デューク、王都の屋敷で過ごす

「いかがですか?お味の方は?」

ギルドで用意した屋敷に出向してもらってる料理人が皆に聞いている。屋敷に居るのはデューク、レイナ、ロキ、ザグスの4人である。


「どれもとても美味しいです!!」


「コレって魔獣の肉かしら?柔らかく仕上がってるのね」


「ジーラビットの肉ですが血抜き後に少し寝かせております…」


「ほう…それで味も濃いのか…ナルホドね」


「ほうほう…人間…いやいや優れた料理人らしい一手間じゃのう」

ザグスは危うく口を滑らせそうになっている。


「お気に召して頂いて光栄で御座います…」

貴族の料理人もやっていた経験もあるらしく、流石に言葉遣いや仕事も丁寧である。挨拶の後、料理人は直ぐに部屋から出ていった。



「ところでメタはどうした?」


「メタなら中庭でガオと頑張ってますよ」


「むう…努力は買うのだかのう…」


「やはり無理そうですか?」


「時間が掛かるのは間違い無いのう。変形は出来るから簡単に出来ると思ってたのじゃが…まあ、焦っても仕方無い明日には次のスキルを教えるつもりじゃ」


「次のスキル…ですか??」


「うむ、せっかくだからのう。後2つ位は教えるつもりじゃわい」


「どんなスキルですか??」

デュークは興味津々である。何しろあの【終焉のザグス】が移譲するスキルだ、相当のスキルと見て間違いないからである。


「取り敢えず【古竜の硬鱗】とドラゴンブレスだのう。コレは眷族には必ず与えておるスキルじゃ」


「【古竜の硬鱗】っていうのは防御に関するスキルですか?」


「うむ。メタは今の状態でもかなりの防御力を持っておる。状態異常や魔法、呪いまで無効化出来る。だが特殊ダメージには全く無力じゃからのう…例えばロキ、お主の『時空斬り』をメタが受けたら真っ二つにされるじゃろう?」


「まあ、そうだな。真っ二つにはなるだろうな」


「そういう特殊ダメージから守る事が出来るのじゃ」


「そうか…確かにリピトはオレの『時空斬り』では斬れなかったな。傷が付いた程度だった」


「そうそう、ソレが【古竜の硬鱗】の効果じゃ。他にも『闇の邪法』や『反魔法』、『神の裁き』等など…まあ、レベルにも寄るがダメージはかなり減るじゃろう」


「また、メタが硬くなるのねぇ…」


「ワシの眷族となって多少は増えておるが、メタは体力が極端に少ないからのう。防御力は有れば有るだけ良いのじゃ」

確かにザグスの言う通りメタのHPは極端に低い。だがそれはメタルスライム系の性質上仕方の無い事である。


「もう一つは何のスキルてすか?」


「後はドラゴンブレスじゃな。ファイヤーブレス持ちじゃから、魔法の上位扱いで済むじゃろう」


「ド、ドラゴンブレス!?」


「おいおい…どんだけ大盤振る舞いすれば気が済むんだ??」


「メタは可愛いからのう」


(((リアル爺ちゃんかよ!!)))

もうその姿や雰囲気から孫にオモチャを買い与えてる様にしか見えない。


『あるじ〜もどったの』


「メタ、お帰り。魔石要るでしょ?」


『ちょうだいなの』

メタが魔石を取り込んでる間にガオにも「ご苦労様」と撫でてあげてから食事を出してあげる。


「メタ、明日は他のスキルを移譲するから楽しみにすると良いのじゃ」


『ほかのくれるの?うれしいの』

メタが素直に喜ぶとザグスがすっかりリアル爺ちゃんの様な眼差して見ている。


「メタ、良かったね。明日も頑張ってね」


『あしたもがんばるの』


「話は変わるが…リピトは今何処に居るか知ってるか?」

ロキはザグスに聞いている。


「リピトは西の方におるな…そのくらいしか分からぬ」


「西の方ねぇ…」


「リピトに何の用じゃ?スキルでも貰いに行くか?」


「まさか…色々と聞きたい事もあるしな。知らん間に眷族にされた訳だし」


「そう言う事か…恐らくリピトは休眠期に入ってる筈じゃ。彼奴は寝起きが悪いから起こすのはやめた方が良いぞ」


「そうか…休眠期ってのはどの位の期間なんだ?」


「リピト次第じゃ、ワシにも分からんぞ。まあ、起きたら分かるのじゃが…」


「ナルホドね…」

ロキは何かしら考えてる様子だったが、そのまま自分の部屋に入ってしまった。


その後、ザグスも寝ると言って部屋に入ったので、残ったデュークとレイナはローナイトで別れてからの話を色々と夜が更けるまで話していた。




翌日、朝食を食べ終わるとロキは冒険者ギルドへ、レイナは『白猫』にそれぞれ出掛けて行った。

残ったデュークはザグスとメタのスキル移譲を見守る事となった。


「メタ、それでは【古竜の硬鱗】を移譲するぞい。行くぞい」

ザグスは持っていた杖をメタの頭にコツンと当てる。すると紋様が浮び上がり点滅していたが暫くすると点滅が終わる。


「コレで終了じゃ…んん??これは一体…」

『竜眼』でメタを見ていたザグスが驚く様に言う。


「何か有りましたか??」


「う〜む…スキルが少しだけ変化した様じゃ…こんな事は初めてじゃのう」


「スキルか変化した??」


《エクストラスキル 古竜の硬鱗》をスキル移譲された事により、《エクストラスキル 魔法無効化》《ユニークスキル 状態異常無効化》《ユニークスキル 呪詛無効化》が《エクストラスキル 古竜の硬鱗》に統合進化され《ユニークスキル 古竜の守護鱗》を獲得しました。


《ユニークスキル 古竜の守護鱗》

魔法、状態異常、呪詛の無効化及び特殊ダメージ耐性。クリティカルヒット回避。自己再生機能。被ダメージによる防御力強化。


「それってかなりの進化じゃないですか?」


「そうじゃのう…流石に驚いたわい」


『メタ、つよくなったの』


メタは早速【古竜の守護鱗】を発動して鱗の様な外皮を浮き出させた。このスキルはメタと相性が良かった様である。

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