第23話 デューク、盾をオーダーする(前編)
ダンジョン【ディスティニー】の調査を終えてローナイトに戻った『黄昏旅団』とデュークの一行は冒険者ギルドにいた。
調査の結果は直ぐに報告され、ゼノは直ぐに新たな調査団編成を指示した様である。
冒険者ギルドの倉庫で魔獣やドロップアイテムを全て降ろした後、デュークは『黄昏旅団』のメンバーと挨拶を済ませ、直ぐに『白猫』に戻りガイルに報告した。
「そうか…そいつは大変だったな。しかしよぉ…ダンジョンよりもメタの方が気になるぜ…」
「ライアンさんに見てもらおうかと思ってたんですよね。ボクらのレベルとか」
「じゃあ見る事にするかい?」
いつの間にかライアンが後ろに立っていた。
「じゃあ僕の目を見て…」
ライアンの金色の眼が光る。
デューク
職業 ボックステイマー
レベル 42
HP 325
MP 0
攻撃力 1
防御力 1358
体力 185
腕力 1
魔力 0
素早さ 1157
キューブ レベル5A
《ユニークスキル 深淵の魔眼》
《エクストラスキル神速》
《ユニークスキル 移し身の神盾》
《ユニークスキル 状態異常無効化》
メタ
種族 スライム系ミスリルメタルスライム
レベル 17
HP 59
MP 524
攻撃力 3
防御力 6240
体力 82
腕力 3
魔力 482
素早さ 3849
魔法 ファイヤーボール
魔法 ファイヤーブレス
《ユニークスキル 鉄の意志》
《エクストラスキル 魔法無効化》
《ユニークスキル 深淵の魔眼》
《ユニークスキル 脱皮進化》
《エクストラスキル 高分子ゲル化》
《スキル 魔石溶解》
《スキル 跳弾》
《エクストラスキル 魔槍変形》
《ユニークスキル 魔炎の貫通弾》
《エクストラスキル 瞬歩》
《ユニークスキル 鋼の守護者》
《ユニークスキル 状態異常無効化》
《ユニークスキル 魔伝通話》
《スキル魔鉄の氷柱》は進化し《エクストラスキル魔槍変形》を獲得しました。
《ユニークスキル魔鉄の弾丸》は進化し《ユニークスキル魔炎の貫通弾》を獲得しました。
(しばらく見ない間にまた凄い事になってるな…しかも喋るとか…)
ライアンはあまりのチート振りに驚きを隠せない。
ライアンの書いた鑑定書を見てアレスとガイルは呆気にとられている。
メタはというとギルドに戻ってから皆に話し掛けまくっていた。中でも何を気に入ったのかペインにくっついてずーっと話し掛けていて、流石のペインもデュークに助けを求める程だった。
「メタ、ペインさんは忙しいのだから邪魔をしちゃ駄目だよ」
『えーペインさんはおへやにいるだけなの』
ガイルはお茶を吹き出して笑っている。
「メタ!ギルドの人間は皆んな仕事中なんだぜ。だから喋ってちゃ駄目なんだぜ!分かるか?」
テーブルを拭きながらガイルが言うと
『アレスさんはぺらぺらしゃべってるの』
と中々鋭い所を突いてきた。
「メタちゃ~ん、お兄さんはエラいから大丈夫なんだよ~♪わかった〜?」
「いやいや…アンタはエラいんだからもっと仕事しろよ…」
アレスは恐い顔のガイルに突っ込まれている。
「とにかく静かにしてないとダメだよ。部屋に帰ったらボクと沢山喋ろう」
『わ〜い♪あるじのいうこときくの』
「メタは良い子だね」
メタはようやく鞄の中に収まった。
「例の『神養石』の件だが商人ギルドとの交渉が上手く行ったからよ、その内に安くエリポーションは出回る様になるぜ」
「そうですか!早く皆に安く入ると良いですね!」
「王都のパトリックにはボクが手紙を出してあるから。後で色々な交渉はやっておくよ」
「皆さんに任せます。よろしくお願いします」
あくまでも積極的に関わらないスタンスのデュークである。
「そういえばデュークの盾がボロボロだな」
「まだまだ使えますよ」
「いや、レベルアップしてるからそれに合わせないと」
ライアンはデュークに説明する。
「盾は我々『白猫』メンバーには生命線だからね。レベルアップの前に新しくて耐久性の有る軽い盾を用意するものなのさ。デュークはレイナと旅の途中で今のに交換したのが最後だろう?」
「はい、それからは手入れして使ってます」
「盾にはお金を沢山掛けなさい。いくら防御力や素早さが高くても、レベルに見合う盾を持たないといざという時に使い物にならなくなる。盾は『白猫』の生命線なんだ。いいね?」
珍しくライアンがキツい口調で言ってきたので早速新調しに武具屋に向かう事にした。
(そう言えばローナイトの武具屋に行った事無かったなあ…)
トボトボ歩いていると後ろから声を掛けられた。
「おっ!デュークじゃないか?どうした?」
振り向くとゼノがやって来る。
ゼノにライアンから言われた事や武具屋の話をすると笑いながら言った。
「そりゃあライアンの言う通りだ。盾しか持てない『白猫』はそれに金かけなきゃな!よし!ついて来い」
ゼノはローナイトで随一の腕の武具屋に連れて行く。店構えは小さいがとても古そうな店である。
「おい!ジジィ!!生きてるか!?」
「やかましい!!この鼻タレ小僧が!!偉そうに!!」
「フハハハ!まだ元気そうだな!!客連れてきたぜ!」
「あ??客だあ??」
店の店主と思われる爺さんがデュークを人睨みする。
「鼻タレ小僧のトコの坊やか?…ん??『白猫』のマークじゃねーか!」
『あるじはぼうやじゃないの』
と突然メタが現れる。店主はビックリした様だ。
「なんじゃ?このメタルスライムは?テイムか?」
「そいつはメタ。こいつはデュークだ。『白猫』のダンジョンテイマーでレイナの弟子だよ」
「なぬ!レイナの弟子か?アレの盾はワシの作じゃ」
「あっ!あの綺麗なミスリルの盾の事てすね!ボクはデュークと言います。よろしくお願いします!」
「ワシはゴードンじゃ。デュークは盾が欲しいのか?なら自分の鑑定書を見せな。後、今の盾な」
デュークは素直に鑑定書と盾を出した。普通の冒険者ならそう言う事は絶対にしない。自分の情報は生命に関わるからだ。しかしデュークは不思議とゴードンを信頼していた。素直に出したのはその為だ。
「ほう…どうやらそこの鼻タレが入れ知恵した訳じゃ無さそうだのう。ふむふむ…良く手入れをしておるが、換え時は過ぎておるのう…」
ゴードンはさらに続ける。
「愛着を持つ事は悪い事では無い…しかし過度の愛着は生命を危険にさらす事も有るのじゃ。武具の見切りも能力の一つ…分かるか?」
「はい…今まで防御力や素早さを理由に基本を疎かにしていたかも知れません」
「うむ、素直でよろしい。ではデューク、盾を作ってやろう。ミスリル製の軽さと強度を備えた盾をな。製作には十日掛かる。それまでこの盾は預かるぞい」
「よろしくお願いします!」
「ほう、ジジィが本気で作る気になったか…良かったな!デューク!」
「ゼノさんのお陰です!有難う御座いました」
『じじぃはあるじのたてはやくつくるの』
「ん?このメタ公め!お主の身体はミスリルだからお主を盾にしてやろうか??」
メタはビックリしたように鞄に入る。
『じじぃこわいの…』
「こら!ゴードンさんでしょ!」
「ガハハ!!メタもジジィには敵わんようだな!」
「やかましいわ!この鼻タレが!」
こうしてデュークはゴードンに盾を製作して貰う事になったのである。
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