第13話 デューク、街道を旅する。
二人はローナイトに向かい街道を走っていた。
王都から各街に放射状に街道は整備されている。
徒歩または馬や馬車での移動が主な交通手段となるこの世界では、街道を整備する事で街と街の人や物資の往来が活発化して街の発展に繋がる。
街道には魔法陣によるセーフティエリア(SA)が有り、そこで魔獣に気にする事なく休む事も出来る利点もある。
「あそこのSAで休もう!」
カーグンを出発してから街道を半日走りっぱなしで来たので食事をとる為だ。
先客は旅の商人キャラバンの様だ。警備の冒険者らしきメンバーがガオを見てギョッとしてたが『白猫』のマークを見せると安心した様だ。
「どうも!隣り借りるよ!」とレイナが言う。
「どうぞどうぞ。フィールドテイマーの『白猫さん』なら大歓迎ですよ」と商人キャラバンの長らしい人が言った。
「しかし、レッドジャガーをテイムしてるって凄いな。ウチの冒険者ギルドにも居ないぜ」と警備の冒険者がしきりに感心する。
「偶然なのよ。この子が小さな頃に出逢ったからね」とレイナは食事を用意しながら言う。
デュークは【キューブ】からカーグンの朝市で仕入れた魚(海洋モンスター)を出した。
ガオは生が好きなので多めに出すとバクバク食べる。
後は焼物にするのて火起こしして魚を串に刺す。
「カーグンから来たのかい?」と商人さん。
「ワシらはローナイトから来たんじゃ」
「えっ!ボク達はローナイトに帰るんですよ!」デュークは声を弾ませる。
「ほう、ローナイトにそれは奇遇じゃのう」
「ローナイトに何か変わった事は無かった?」
とレイナが聞くと、商人さんが「そう言えば」と話を続ける。
「アンタのトコのギルマスが出かけてたのう。丁度ワシらと出発が同じでな」
を「は?ギルマスが?いったい何処に??」
レイナが目を丸くしている。
「何でも王都に向かうとか言っておった。急いでいた様じゃのう」
レイナは口を開けていた。
折角デュークの鑑定書やら手紙を送っておいたのに…しかも彼等が20日を掛けて此処まで来ているのならばギルマスはもう王都に着いてる筈だ。
「レイナさん、またギルマス留守なんですか?」
「その様だね…手紙は読んでなさそうだから…困ったもんだ」
「また会えないのか…ギルマスにもお土産買ったのになぁ…」
「えっ!デュークってギルマスに合った事ないの??」
デュークが『白猫』に来た時も王都にギルマス会議で行ったまま、レイナと街を出る時まで帰って来なかった。
「呆れた…人に頼みっぱだったのね。今度会ったらガッツリ説教しなきゃね…」
レイナの目が怖い。アブナイ人の目になっている。
その後、商人さん達を見送りながら準備を始める。ギルマスも居ないのでさほど急ぐ旅では無くなった。
「行こうか?デューク!」
レイナとデュークはまた走り出した。
それから5日間ひたすら街道を走ってローナイトに向かっていた。
途中に何度か魔獣に出食わしたが「ゴミ掃除」と言ってレイナとデュークでボコボコにする。
その後着いたのはローナイトとカーグンの間の小さな村の宿に泊まり、更に3日走ったある日SAで食事を始めると、商人キャラバンがやって来た。
「隣り良いかね?『白猫さん』」
「どうぞ~ご自由に〜」デュークが返事をする。大分慣れて来たようである。
デュークが魚を噛ってるのを見て
「おっ!カーグンから来たのかい?いやぁ〜ローナイトでは肉ばかり食ってたからカーグンの朝市行きたいぜ〜」
と話し掛けてきた。
「ボク達はローナイトに戻る途中です」
とデュークが続ける。
「向こうで何か有りましたか?」
と情報収集も教わった通りにやっている。
すると
「ああ、何でも今は立入禁止措置がされている【ディスティニー】に他から来た高レベル冒険者が知らずに入っちまって死んだらしいよ」
商人は顔をしかめて更に話す。
「ローナイトに立ち寄らずに行ったのが運のツキさ。すれ違った商人からタマタマ冒険者が聞いてギルドに報告、直ちにギルマス率いる30人くらいかな…行ったけど間に合わなかったって」
「冒険者ギルドに被害は??」
レイナが真顔で聞くと
「怪我人は出たらしいがそっちは平気。まあしばらくは【ディスティニー】の仕事は無いよ」
「ボク達が行った後で立入禁止になったんですね。報告行ってたのに…」
とデュークが無念そうに言うと商人が
「アンタら入ったのかよ!良く生きてたな!」と驚いていた。
「貴重な情報をありがとう。デューク!商人さんに魚を」とレイナが言う。
「沢山食べてね。感謝の気持ちだからさ」
商人達はビックリしていたが気にせず魚を沢山渡す。
「デューク!行くよ」と素早く片付けてガオに乗り、そのまま走った。
後、3日も走ればローナイトである。
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