第7話 デューク、旅に出る。

早速、自分の部屋に戻ったデュークは旅の支度を始める。


と言っても部屋にある荷物はほとんど【キューブ】に入れてしまえば良いので楽勝である。あとはギルドの制服と盾を装備すれば準備完了である。



「準備出来ましたっ!…あれ?」


そこにはレイナの姿が無い。



「お、早いな。レイナさんは冒険者ギルドに行ってるからゆっくり待つと良いよ」とライアンが軽食を取るテーブルに案内する。


「まあ、四方山話も有るだろうからね…」




デュークが来る少し前


「レイナ、冒険者ギルド行くんだろ?挨拶はしとけよ!」


とガイルが珍しく真面目な顔で言う。



「分かってるよ。」レイナは言った。



「挨拶も無しだと俺がゼノの旦那に半殺しにされちまうからな」



「そんな野蛮人じゃないよ。副長じゃあるまいし」


言われてガイルが首をすくめる。



「直ぐ戻るよ。待ってる様に言っといて」




冒険者ギルド着くと受付の女性に挨拶し、直ぐにギルマスの部屋に行った。


「しばらく!ゼノ!」



「!!レイナか?」ゼノが驚いた様言う。


「いやぁ〜イイ女になったな!ガオもデカくなったしな!!」



「良く言うよ、ゼノは流石に歳は取ったね」



「もう15年だぞ、当たり前だ。それにしてもコッチに来るなら連絡くらい寄越せよ」



「びっくりさせようと思ってね。さっき墓参りは行ってきた」



「そうかい。アイツ等も喜んでるだろ…それにしてもどうしたんだ?」



「ああ、実はギルドの新人を預かる事になってさ。引き取りに来たんだよ」



「ガイルが言ってたテイマーの子か?」



「そうそう…ってそんな事まで話してんの??」


レイナは呆れた様に言う。



「冒険者ギルドも商人ギルドも『白猫』とは密接な関わりが有るんだ。副長のガイルとそんな話も有って然るべきだろ?」



「へぇ〜…アタシはてっきり酒の席でペラペラ喋ったのかと思ったわ」とゼノを睨みつける。



「ま、まあ飲みくらい行くがな。」と目が泳ぐゼノ。



「フフフ、まあ良いけどね。程々にしなさいよ、いい歳なんだからさ」



「やかましいわ!年寄り扱いするな!」



「アハハ!!さて、じゃあ行くよ。弟子が待ってるからね」



「変な事は教えんなよ!」



「ライアンみたいな事言わないでよ!」



「アハハ!!じゃあまたな」


ゼノはあの見送った時を思い出していた。




『白猫』に戻ったレイナはデュークを見つけた。


「デューク待たせたね!さあ行こうか!!」



「はい!もう用事は済んだのですか??」



「おう!ゴミ片付けのお駄賃が沢山入ったからこれから買い物だ!行くよ!」



「はい!!じゃあライアンさん行ってきます!」


とライアンに声を掛ける。



「道中の無事を。レイナさん宜しくお願いします」



ライアンにオッケーの合図をしたレイナはデュークを連れて買い物に出掛ける。そのまま旅路につく予定だ。




買い物で食料品をたんまり買い込んだレイナは薬も買い込んだ。


「デュークはどの位【キューブ】に入るんだい?」



「僕は5Aです。レイナさ…御師様はどの位ですか?」



「デューク、御師様はヤメてくれよ。レイナで良いから」と渋い顔で言う。


「アタシは6Aだね。結構入るねデュークも」



【キューブ】の容量は100立方メートルで1Aの単位。それより少ないと10立方メートルで1Bで大きいと1000立方メートル以上はSランクと呼ばれる。



そのまま城門の近くに行くとガイルが待っていた。


「おっ!来たな!」



「ガイルさん!」とデュークが駆け寄った。



「デューク!レイナの言う事聞いてしっかりやるんだぜ!」とデュークの頭を撫でながらガイルが言う。



「はい!修行頑張って来ます!」と言うとデュークは涙目になった。



「ガハハ!!泣く奴が有るか!楽しんで来い!!」と頭をクシャクシャに撫でる。



「後は任せて。デューク行くよ!!」とレイナはガオの上に乗った。


「デューク!後ろに乗りな!」とデュークを促す。



「えっ、乗るんですか??」とデュークがびっくりする。



「当たり前だろ、チンタラ歩いてられるかよ!」



「じゃあ、ガオごめんね」と言いながらレイナの後ろに乗る。



「しっかりつかまってるんだよ!じゃあね!」とガイルに挨拶するとガオが一気に飛び出した!



「ギャアアアア!!!!!」とデュークの悲鳴が直ぐに遠くなる…



「ホント、大丈夫かよ…デューク、ドンマイ…」


ガイルが遠い目をしながら呟いた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る