第6話 デューク、弟子になる。
デュークはライアンにギルド関係の事、養成所のオーグス所長には『白猫さん』としての仕事の基本を教えてもらっていた。
仕事の内容は単純明快、街中とフィールドとダンジョンにおける荷物運びだ。
フィールドを担当する者は街から街の運搬で普通便と特急便が有る。そしてギルドに運ばれると街中担当がそれぞれの荷物運びをするのだ。
ダンジョン担当は冒険者にくっついてドロップアイテムや倒したモンスターの肉、宝箱の中身を運ぶ。
そうした仕事の注意点やら色々学ぶのだ。
1ヶ月が経った頃に突然ギルド長から手紙が届いた。
「って事で…師匠が決まったのと、その師匠がもう直ぐ来るって事だ!良かったな!ガハハ!」
「ガハハじゃ無いよガイル!何でこういきなりなのかね、全く…」
「まあまあペイン姐さんそんなに怒りなさんな」
とガイルが続ける。
「ギルド長の『いきなり』は今に始まった事じゃねーし、それで上手く行かなかった試しがねぇよ」
「あのぉ…」
デュークが割って入る。
「師匠のレイナさんってどんな方なんでしょうか?」
「レイナはね、アンタと同じ『ボックス』でテイマーなんだよ」とペインが話す。
「ウチのギルドの中でも超優秀でね。『白猫の紅い暴風』って呼ばれてるよ」
「暴風…」とデュークが言葉を無くす。
「まあ、そのうち実力は分かるさね。腕は保障するよ」
「おーい!デューク!!」とライアンの声。
「迎えに行くよ。支度し…終わってるね」
ローナイトの城門の近くまで行くと城門前か騒然となっていた。何か起こっているようだ。
「何か有ったのか?」とライアンが守衛に話しかける。
「あっ!『白猫さん』じゃないか!さっき向こうでゴブリンの群れが出たんだけどさ、アンタのギルメンが全滅させてたぜ!!あんな凄えの居るんだな…」と守衛。
「まさか…嫌な予感がしかしねえな…」とライアンが頭を抱える。
「何がどうなってるんですか?ウチのギルメンって…」
デュークが聞いてると…
「おーい!!ライアン!!久しぶりだなー!!」と女の人の声。
「あーーやっぱり…着いて早々これだよ…」
ライアンが苦笑してると城門の入り口に赤い髪の女性が歩いてくる。隣には紅い色をしたジャガーが付いて来ている。
「ライアンさん…アレって…」
「そうだ、アレがキミの師匠になるレイナさんだよ」とライアンが言った。
「お久しぶりですレイナさん。相変わらずトラブルメーカーですね」
「オイオイ、アタシは通り道にゴミが落ちてたから掃除しただけだよ。失礼なこと言うねぇ〜」とレイナはどこ吹く風といった感じだ。
「イヤイヤ、そんな高レベル冒険者みたいな事言わないで下さいよ、レイナさん一応『白猫さん』なんですからね」
「一応って…まあ、冒険者ギルドにも登録残ってるからね」
レイナはライアンの隣にいる少年を見た。
「この子がデュークかい?」
「は、はじめまして!デュークですっ!よろしくお願いします!!」デュークは緊張マックスで挨拶する。
「あら、キチンと挨拶出来る子なのね」とレイナが近づく。
「アタシはレイナ、この子は相棒のガオよ。ヨロシクねデューク」とレイナはデュークの頭を撫でた。
「くれぐれも変な事は教えないで下さいよ」とライアン。
「アタシがいつそんな事したのよ。失礼ね」
「さて、馬鹿話はこの位で…ギルドに行きましょうか。副長もペインさんも待ってますよ」
「久しぶりだな〜ペイン姐さん元気?」とレイナが聞くと
「お元気ですよ、楽しみにしてましたし。副長の事は聞かないんですか?」
「副長は元気にに決まってるでしょ!元気じゃ無い副長なんて気味が悪いわよ」
レイナは相当な毒舌の様だ。
デュークはガオに興味津々で凝視しながら触ろうかどうしょうといった感じ。
「触っても大丈夫よ」とデュークに声を掛ける。
デュークが触るとガオは頭を押し付けてきた。
「おや、ガオが初対面のヤツに頭を押し付けるのは珍しいね。どうやらデュークを気に入ったみたいだね」
「そうなんですか?嬉しい〜」
デュークはガオをナデナデしてる。
ギルドに着くとレイナは早速ペインの部屋に行く。
「レイナさん、副長のトコが先でしょ!」とライアンの声も聞かずにペインの部屋を開ける。
「ガハハ!良く来たな!まあ座れや!」とガイルが待っていた。「どうせコッチに来ると思ってな!!」
「流石〜良く分かってるわね〜」とレイナが笑う。
「久しぶりね、副長」
「おう!今回は面倒掛けるが宜しく頼むぜ!」
「任せなさいって。アタシ失敗しないので」
ん?どっかで聞いたセリフ…イヤイヤ。
「全く…人の部屋で騒ぐんしゃないよ!」
「ペイン姐さん!」とレイナがペインに抱き着く。
「コラ!何ひっついてんだい!子供か!!」
「良いじゃないのよ〜久しぶりなんだからさ〜」
とレイナは悪びれない。
「ガハハ!レイナはペイン姐さんにゾッコンだからな! 」
「笑ってないで助けんだよ!このアホ!」
大騒ぎの中、デュークはガオに引っ付いていた。こちらはまんざらでは無さそうだ。
「で、どういう方針で行くんだい?」ペインがレイナに聞く。
「一応考えてるのは足の速い四足かな」とレイナが続ける。
「候補の一番手はウルフ系かなと。性能はピカイチだし慣れやすい。後はユニコーン系かなレアだけど」
「ウルフか!悪くねえな、戦闘力もあるし速えからな!」とガイルも同意の様だ。
「ただし、テイム出来るかは分からないよ。相性とか有るからね、こっちの思い通りに行かない事もあるのよ」
「確かに…テイムについては分からないことが多いからねえ…」ペインが呟く。
「まぁテイム出来たらそれに合わせりゃいいさ!細けえ事はどうにかなるぜ!ガハハ!!」
「ったく…ガイルは能天気だねぇ…デュークの一生がコレで決まるんだよ」とペインさん。
「とりあえずウルフ探しに出るよ。明日からで良いかい?」
とレイナがデュークに聞く。
「はい!!頑張ります!」と元気に返事をするデューク。
「よし!明日朝に出発だ!!」
さて、デュークに何が待っているのでしょう…そして無事にテイム出来るのでしょうか…
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