第4話 デューク、『白猫さん』になる(後編)

ライアンに連れられて受付の大きなフロアに案内される。


「ココではギルドの登録や仕事を受ける事が出来る。全部回ったら登録するからね」


「分かりました!!」


周囲の『白猫さん』達から「おっ!新入りか!?」だの「坊や!頑張れよ!」とか声を掛けてくる。


「よろしくお願いします!!」とデューク。


「それじゃあ2階に行こうか」


「はい!!」



2階の奥の部屋に案内される。


「ココがギルド長の部屋だよ。今日は留守にしてるから挨拶は帰って来てからだね」


「ギルド長は何処に行かれてるのですか?」


「王都ギガンティアのギルド本部に行ってるよ。年に一度のギルマス会議さ」


「王都!!遠いですね」


「まあ、毎年1回の長旅になるけど仕方無いさ」


このローナイトの街から王都ギガンティアまではどんなに急いでも2週間はかかる。往復を考えると1ヶ月以上の長旅だ。


「その分羽も伸ばせるって訳さ」とライアンが小声で言う。


「ギルド長は恐妻家だからね」と笑っている。


「きょうさいか?って何ですか??」


デュークは小首を傾げながらライアンに聞く。


「奥さんに頭が上がらないって感じかな」


「へぇ~そうなんですか〜」


「じゃあ次の部屋だね。ココは副長の部屋だ。もう会ってるし入らないよ」


「副長の部屋ですね」


ギルド長の部屋の扉より大きく豪華な扉の部屋だ。


「外見があんなだし大声だから怖がられるけど、実は人一倍気遣いの人なんだよ〜意外でしょ?」


「そうなんですか?豪快な感じですけどね」


「まあ、豪快では有るのだけどね」とライアンは笑った。


次の部屋は職員の部屋だった。ライアンもこの部屋に机がある。会計長や医療長など偉い人が忙しく働いている。


「今は忙しいので挨拶はまた後でな」


因みにライアンは主任の肩書きである。



その後、寄宿舎や養成所などを案内された。寄宿舎は意外と広くデュークの部屋も決まっていた。


養成所では10数名が教育を受けていて、デュークも師匠が来るまでの間こちらで基本的な教育を受ける事になった。


「登録終わったら荷物を部屋に置いてくれ。【キューブ】に入れてるんだろ?」


「ハイ!そうします」


「さて、そろそろ登録しようか」



先程の広い部屋の受付で登録する。登録には1000G必要でこのお金を村人達が貯めていてくれたのだ。


「では登録が終わりましたのでこちらをお受け取り下さい」


と受付の女性が白い制服と革の盾を持ってきた。もちろん盾には白猫のマークが入っている。


「ようこそ!ギルド『白猫急便』へ!!」とライアンが言った。



デュークはようやく憧れの『白猫さん』になれたのである。




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