思考垂れ流し
秋の夕暮れ、夏の終わりなどノスタルジックをぶちまけたような季節が大好きだ。
春は新しい何かの始まりに心を踊らせている人間を見ることが楽しいし、冬に朝、友人が2人ほど来た教室から窓の向こうの雪景色など風情を感じる。
そしてそのような時に感じるノスタルジックは大抵少し喉の奥が苦くなるように思える。
言葉がなくても心を突き動かすことが出来るのだから自然や季節は壮大だ。
夏、と聞いて思い浮かべる情景の種類が他の季節より多いのは私だけかもしれないが、あれ程様々な色を持つ季節は他にない。
と言っても年々暑く/寒くなる気温や、季節が思ったように始まらない昨今では季節を好きになれというのも難しいと感じる。季節なんて気にしていられない人も多い。というより嫌っている人も多いのではないか。
大雪で多くの交通網が潰れても人を助けるために会社に向かう人や、学生を電車で見たり
(私もその中のひとりであるが)
夏に体育の時間中先輩が倒れた、後輩が運ばれたと聞いたり、春に教室で鼻をかむ音が途切れないところを見ると、万人に好かれるような季節はないのではないかとさえ感じる。
春と秋が消えかけているこの世の中で春の訪れを少しでも感じられるのはとても嬉しい。
桜が咲いているところを見るのもいいがハナミズキやハクモクレンなど咲き誇る道を歩くのも心が和らぐ。
ハクモクレンは花弁に艶があるが、がくの部分は毛がありコートを羽織っているようで、春になりそのコートを脱ぎ始めたように見えとても美しい。季節がうつろいが分かる。
いきなり来たあたたかさについていけず、枝のまま眠っている木々も愛おしい。
夏は陽の光が強い代わりに茂った木が木陰を作ってくれる。その時期に採れる野菜は非常にみずみずしい。夏野菜が好きという方も多いだろう。何もしてないのに、じとじとして張り付く服や髪もこの時期にしか味わえなくなるかもしれない。自然に最も感謝し自然を最も恨む季節かもしれない。
しかしなんだかんだ言って秋は1番日本に合っている季節かもしれない。
過ごしやすい気候に、大きなイベントがなく(ハロウィンはイベントと認識していない)、受験勉強などない方は心持ち的にもゆったりできる季節ではないだろうか。
草木も人間も冬に向けた装いになっていく。
1番静かな冬はあたたかみを含んだ季節だと思う。
食べ物もそうだし服など目に見えるものもそうだが、身の回りの人の雰囲気があたたかくまろやかになるのもこの季節。
もうそれを目にすることも少なくなってきてはいるが、雪が「しんしん積もる」とはよく表現したものである。未だにこの言葉以上にあの光景を表す言葉に出会えていない。
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