第34話 積み重なる犠牲

 

 巡回を終えたデルフたちは帰り際にヴィールたちと合流した。


「デルフく~ん! どうだった~」


 デルフは首を振る。


「そっかー今日は収穫なしだね~」


 そう言ったヴィールの前にすっとノクサリオが近寄って耳打ちする。

 そのノクサリオの表情は笑みを含んでいた。


「えっ? 姉御?」

「馬鹿!! 静かに……」


 ノクサリオは恐る恐る後ろを見てみると既にすぐ後ろにアクルガが立っていた。

 青筋を立て引き攣った笑顔をノクサリオに向けられている。


 次の瞬間、ノクサリオの悲鳴が周囲に轟いた。


「それで、アリルはどこに行ったんだ?」

「それがね~」


 ヴィールは顔を気まずそうにした。


 デルフは疑問に思いながらも次の言葉を待つ。


「裏道って暗いでしょ?」

「ああ」

「物音にびっくりしちゃって逃げるように戻っていっちゃった」


 その言葉にデルフはなんと言っていいか分からず作り笑いで誤魔化す。


「俺たちも戻るか……」

「そだね」




 あれから一月程度経ったがいまだ殺人鬼の影すら掴めずいた。

 殺人鬼も大事になったことを恐れて身を潜めたのかあれ以来事件は起きていない。


 騎士たちの間ではもう殺人鬼はもう出てこないのではないかと噂されている。

 もし、このまま出てくることがなければ捕らえることは不可能だろう。


 しかし、対策も打ち用がない。


 その夜、デルフたちは巡回の日ではなく非番であったがデルフは家には帰らずにヴィールたちと演習場で訓練をしていた。


 演習場には天井はなく夜空を照らすキラリと光る星々が見えている。

 星空の輝きでも十分に明るいのだが所々に松明を灯しているため演習場内はまるで昼間のように明るく夜だからといって訓練に支障はない。


 ちなみにアリルは訓練という言葉を聞いたら震えて布団にくるまって動かなくなってしまったため仕方がなく置いてきた。


(しかしアリルは本当に騎士としてやっていけるのだろうか……訓練にまで怯えていたら本番どころではない。命を捨てるようなものだ)


 だが、リュースが合格を認めたということはやはりそれなりの実力を隠し持っているのだろう。

 デルフはそう思うことにした。


「ハッハッハ! ノクサリオ! 私が相手をしてやろう!」


 大剣を肩に担いで堂々と言うが対するノクサリオは乗り気ではない。

 前の不良たちとの戦いのことを思い出しているのだろう。


「おいおい。お前と戦ったら怪我だけでは済まないだろ!」

「ハッハッハ! 問答無用!」


 アクルガは大剣を地面に引きずりながらノクサリオに向かって走り始めた。


「お、おいちょっと!」


 ノクサリオは後ろに背負っていた斧槍を構えて迎え撃つ。

 アクルガは片手でその大剣を横薙ぎに払うがそれをノクサリオは斧槍で受け止める。


 金属のぶつかり合う甲高い音が演習場に響く。


「それを片手で振るなんて出鱈目だろ!!」


 受け止めた衝撃で顔をしかめているノクサリオの悲痛な叫びが演習場を木霊する。

 斧槍を持っている手は震えており既に限界が来ている。

 今にも押し負けそうだ。


 しかし、アクルガはまだまだ余裕な表情でしかも笑みを浮かべて楽しんでいる。

 恐らくまだ本気を出していないのだろう。


「こ、の……戦闘狂が!」


 ノクサリオは両手をさらに力を込めてその大剣を思い切り押しのける。

 それで体勢を崩したであろうアクルガの隙を狙おうとする。


「ふっ甘いぞ! ノクサリオ!」


 しかし、アクルガは既に大剣を上に放り投げており体勢を崩すどころかノクサリオの懐にまで潜り込んでいた。


 そして、手刀で手を叩かれたノクサリオは斧槍を地面に落とす。


 アクルガは上に放っていた大剣が自分のすぐ横まで落ちてきたときにその柄を片手で掴み器用に一回転させてからノクサリオの首元に当てる。


「終わりだな」


 そのデルフの声によって殺気立って重苦しかった空気が嘘みたいに軽くなった。

 ヴィールとガンテツはアクルガと健闘したノクサリオに賞賛の拍手をパチパチと送っている。


「ハッハッハ! 惜しかったなノクサリオ! だが、武器ばかりを見るのは悪い癖だぞ。改めると良い!」


 ノクサリオはむすっと不貞腐れている。


「こんな化け物に勝てるわけがないだろ!!」


 アクルガの手刀がそれほど強烈だったのかノクサリオは痛そうに手を撫でている。

 薄らとだがその手は青く腫れている。


「アクルガ。どうせまだ本気じゃないんだろ?」

「フッフッフ。当たり前だ! 正義の味方たる者、弱い者いじめなどしない! ハッハッハ」


 それを聞いてノクサリオは唖然としていた。


「マジかよ……」


 正直、デルフでも勝てるか怪しいが力押しのアクルガとスピード重視のデルフとでは圧倒的にデルフのほうが有利だろう。


 そう考えると入団試験でのリュースとの戦いではアクルガが得意の大剣では攻撃を当てるのは難しい。

 それだけに不利のなかリュース相手に耐えきっただけでもアクルガの実力は計り知れない。


 卒業生たちの中でもアクルガの実力は広まり今では外部から来たとは言ってアクルガに絡み行こうとするものなど一人もいなかった。

 殆ど絡まれているのはアリルでいつもアクルガが追い払っている。


 その時、演習場の扉が勢いよく開いた。


「おい! お前たち至急講義室まで来い!」


 先輩騎士がそう伝えるとすぐに走って行った。

 その表情は険しかったため緩やかな空気が急に重くなる。


「なんだか急いだ方が良さそうだね」

「そうだな」


 デルフたちも急いで先輩騎士の後を追う。

 講義室には既に人が集まっており巡回に行っていた組も帰ってきていた。


「アリルちゃーん!」


 ヴィールがアリルの姿を見つけ飛びかかるがアリルはいつもみたいに叫び声など一切あげず目線の位置が全く変わっていない。


 デルフはその違和感に気が付きアリルが見ている方向に目を向けると横たわっている者が三人いた。


 特に目立った傷はないように見えなぜ倒れているか疑問に思ったが首元を見たとき大きく切り裂かれていた。

 比喩ではなく文字通り皮一枚繋がっているだけで言うまでもなく致命傷だ。


「し、死んでいるの?」


 ヴィールはアリルに絡ましていた手を力が抜けたように離し信じられないというような眼差しでその死体を眺めていた。


「この三人は……」


 確か、初日の日にアリルに絡んでいた奴らだ。


 ノクサリオに聞いた話だと養成所でも素行が悪く恨みを持っている者は山ほどいるらしい。

 やはり、殺人鬼は恨みを買っている人物を狙っている。


「叫び声が聞こえて俺たちが向かった時に既に……くそぉ!」


 今夜、巡回をしていた別の組の騎士が悔しそうに自分が身につけている鎧に拳を叩きつける。


「おいおい。殺人鬼が狙っているのって不良だけじゃなかったのかよ……」


 その隣にいた騎士が洩らすように呟いた。


「何を言っている? あたしたちは騎士であり殺人鬼を捕まえる立場にある! そんな騎士に対して抵抗しないと断言できるのか?」


 そのアクルガの言葉で楽観視していた新米の騎士たちは現実を知ることになった。


 人はいとも簡単に死んでしまう。

 昨日は普通に話していた人がなにも喋らなくなる。

 もしかしたらこれが自分だったのかもしれないと。


「うぉほん! ついに我が隊に犠牲が出てしまったのう。これは本格的に対策を取らなければな……」


 三人一組で動いたとしてもこのように返り討ちに遭い命を落としてしまった。

 一応騎士になることができた者を三人同時に討ち取った殺人鬼の危険度は大きい。


「簡単な話だ! これからは腕に自信がある者だけが巡回をすればいい」


 アクルガが自信満々にそう言うがウェガは難しい顔をする。


「王都は広いからのう。実力がある者どころか騎士全員でも全てを巡回するのは無理じゃ……」


 だからこそ今までの巡回は騎士だけではなく兵士も行っていた。

 いや、逆で普段は兵士が主に巡回を行っていたのだが殺人鬼が現われてからより多くの頻度で騎士が巡回を行っていたのだ。


「しかし、他に手がないのも事実じゃ。……それしかないのう」


 ウェガは深く考え込んだ後、静かに決断した。


「それで名乗りを上げる者はいるか?」

「もちろん。言い出した私が行くのは筋というものだろう。それにここで逃げ出しては断じて正義の味方を名乗ることはできない!」


 アクルガがまず前に出た。


「俺も行くよ」


 デルフも前に出る。


 そして、ヴィールとガンテツそしてノクサリオも前に出た。


「アリルちゃんは無理しなくて良いからね」


 前に出ようかと悩んでいるアリルに助け船を出したヴィール。

 それを聞いてアリルは怯えながら引き下がった。


「ここは僕の出番ですね。必ずや殺人鬼を捕らえて見せましょう」


 ラングートが仰々しく手振りをして前に出た。

 そしてもちろん先輩の騎士たちも名乗りを上げる。


「これだけかのう?」


 爺さんが辺りを見渡して他に候補者がいないのを確認する。


「では、お前たち。後は任せたぞ。儂も儂で巡回をする。事が事だからのう」


 騎士が殺されたという影響は非常に大きい。


 王国の絶対の守護者であるが故に少しでも失態をしてしまうとその信用に関わってしまう。


 そのため一刻も早く事態の収束をするためにも隊長の出動は当然のことだ。


「儂は一人で回るがお前たちは絶対に一人で動いてはならぬぞ」


 そう言って爺さんは講義室を後にした。


「アクルガ。お前はヴィールたちと回ってくれ。俺とノクサリオで十分だ」

「えっ? デルフさん?」


 なぜかノクサリオは納得している様子ではないのでここは煽てておこう。


「大丈夫だ。お前は十分強いよ」


 デルフはノクサリオの肩をトントンと二回叩く。


「あの試合見といてそれ言うの……」


 逆効果だったようだ。

 しかし、アクルガがいればヴィールたちは万が一にもなんとかなるだろう。


「了解した」


 アクルガの了承を得て組の再編はできた。


 いや、厄介なやつがいた。


 デルフはお前が話しかけろと目配せでノクサリオに頼むが苦虫をかみつぶしたような表情を返してくる。


 デルフは気付かぬふりをしてそっぽを向く。

 ノクサリオは仕方なく嫌々ラングートに話しかけに行った。


「おい。ラングート。お前一人なら俺らのところに入らないか?」


 しかしラングートは鼻で笑い侮蔑するような目でこちらを見る。


「弱い者ほど群れたがる。僕は一人で十分だ。君たちと同じと思わないでもらいたいな」

「あ、はい」


 ノクサリオはラングートではなくデルフに睨み付けて耳打ちする。


「ほら。こうなる。だから嫌だったんだ」

「まぁ一応聞いておかないと。形式だけでもな」


 デルフがそう言うとノクサリオは渋々引き下がってくれた。




 次の日の夜、デルフたちはまた前と同じ裏道を歩いていた。

 巡回する場所は既に決めてあるので道に沿って歩くだけだ。


 もちろん油断などしていない。


 騎士も襲うと分かった今油断をする者など誰一人いないだろう。


「しかし、いざ巡回となってもやっぱりそう簡単に見つからないな」

「ノクサリオ。警戒は怠るな。相手は正々堂々と前から出てきてくれるなんて思わない方が良い」

「分かっているって」


 その後も何事もなく警戒は徒労に終わりデルフたちの巡回は終わった。


「デルフくーん!」


 ヴィールが集合場所にて手を振っている。


 様子からしてヴィールたちも殺人鬼とは出会っていないのだろう。


 だが、一人あの嫌なやつの姿が見えなかった。


「あれ? ラングートは?」

「あいつのことだ。さっさと終わらして帰ったんだろうさ。俺たちが気にしても仕方がないぞ」


 ノクサリオはそう言うがデルフには何か胸騒ぎがした。


「少し見てくるよ」


 デルフは走り出しラングートが予定していた巡回の場所に向かう。

 後ろを見ると全員ついてきていた。


「隊長も言っていただろう。単独行動はするなって」

「そうだぞ! デルフ! 正義の味方を置いて先に行くとは。今こそ正義の味方の出番というものだ!」


 後ろでガンテツとヴィールはうんうんと肯いている。


「そうだったな」


 デルフはにやりと笑う。


 しばらく走って進んでいると金属音の打ち合いが聞こえてきた。


(この音……まさか!?)


 デルフは速度を上げてその場所に急ぐ。


 そこにはラングートともう一人、黒いローブに身を包み口元を布で隠して目だけしか見えていない人物がいた。


(こいつが殺人鬼か……)


 身長は思ったよりも小さい。

 しかし、その体格を生かした速度重視の動きは侮れない。 


 現にラングートはその速度に翻弄され既に疲労困憊の様子で目が半開きになっている。


(いや、考えるのは後だ!)


 今すぐに援護しに行かなければ不味い。

 それをすぐに判断できたのかアクルガが飛び出して向かっていく。


 だが、殺人鬼の方が一歩早かった。

 デルフたちの接近に気が付いた殺人鬼は速度をさらに増して一瞬にラングートの懐に入った。


(あの速度が本気ではないのか!)


 ラングートには殺人鬼が目の前から消えてしまったように映っているだろう。


 そして殺人鬼はまだ気付いていないラングートの無防備な首元に短剣が一閃する。


 殺人鬼が飛び退いた瞬間、ラングートの首元から赤い飛沫が噴出し何が起きたか分からずにラングートは崩れるように倒れてしまった。


「きゃあああああ!!」


 ヴィールはその衝撃的な光景を目の当たりにして耐えきれず叫んでしまう。

 殺人鬼はラングートを屠っただけでは物足りないらしくデルフたちに向かって走り始めた。


「口封じをしたいのだな!」


 アクルガが堂々と待ち構えるが狙いはアクルガではなかった。


 殺人鬼はアクルガのすぐ横を一瞬で通り過ぎヴィールの前に立った。

 あまりの速さにヴィールの目は追いついてなく殺人鬼がすぐ前にいることに気が付いていない。


 殺人鬼は先程と同じく短剣をヴィールの首元で一閃させる。

 しかしそれはヴィールの首を切り裂くことはなかった。


「あたしを……無視するな!!」


 ヴィールと殺人鬼の前に大剣が壁として立ち塞がった。

 殺人鬼は振ってしまった手を止めることができず大剣と短剣が思い切り衝突し辺りに火花を散らす。


 さすがの殺人鬼も大剣に打ち勝つことができず短剣を持っていた手が痺れているようで抑えている。


 その隙にノクサリオとガンテツが攻撃を仕掛けようと動くが殺人鬼は大きく飛び退きそれを避ける。


「デルフ!」


 ノクサリオの叫びに殺人鬼は察したのか宙を飛びながら後ろを振り向く。

 そこには殺人鬼の動作を予測してデルフが既に着地点と思わしきところに刀を抜き待ち構えていた。


 デルフはタイミングを見計らい渾身の突きを放つ。

 それを殺人鬼は短剣で迫り来る刀の軌道をずらしながら流れるようにデルフに近づいてくる。


 そして、懐に潜り込み短剣を構え直して振り抜こうとした。


 だが、その瞬間に殺人鬼は身体に衝撃が走り吹き飛んだ。


「かはっ……」


 家の壁にぶつかり肺に溜まった酸素が全て身体の外に出て辛そうにしている。


 持ち直して何が起きたか確認する殺人鬼だがデルフの片足が地面についたところがその目に映っただろう。


「お前の姿が消えたときは懐に入ること見て分かっている。刀だけに注意が行き過ぎだ」


 殺人鬼は無言のまま後退りする。


 そして振り返って走り出すがすぐ後ろは壁だ。


 逃げるにしてもどうやってと思ったが見ているだけで自由にさせてやる義理はない。


 デルフは追いかけようと走り出すが殺人鬼は後ろをチラリと見てデルフの姿を捕らえた後に短剣をキラリと見せた。


(この距離で一体何をするつもりだ!?)


 そのときデルフに悪寒が走った。


 急いで刀を構えると同時に殺人鬼は距離が開いているのにも関わらず短剣を思い切り振った。


 キーンと甲高い音と同時にデルフの手に衝撃が伝わってくる。


 デルフはゆっくりと後ろを振り向くと自分の身体のを避けて壁に斬撃の跡があった。 


「な、なんだ……」


 動揺は大きくその隙に殺人鬼は壁を伝っていき屋根に登りそのまま闇に紛れて逃げ去っていく。


 デルフはその姿を目で追うことしかできなかった。


(隠し球というやつか……)


 大きく息を吐きデルフは刀を鞘にしまいアクルガたちの下に戻る。


「アクルガ。ありがと~」


 殺人鬼が立ち去るのを確認するとヴィールはへなへなと座り込みアクルガに礼を言う。


「惜しかったな。デルフ」

「いや、惜しくないさ。あの殺人鬼……まだ実力を隠していた」

「最後のあれか。あたしも見ていた」


 アクルガはその攻撃が当たった壁を注意深く眺める。


「ふむ。これは魔法だな。斬撃を飛ばす魔法と見た!」

「斬撃を飛ばす……厄介だな」

「そうでござるな。カルスト殿の刀で防いだにも関わらずに斬撃が二つに分かれて壁を切り裂いた。恐ろしい技でござる」


 ガンテツが険しい顔をして言う。


 ノクサリオは屍となったラングートの目の前に歩いて行き開いている目を手で撫でるように触れ閉じさせる。


「あまり好きじゃなかったけどこうなったらな……」


 そのノクサリオの表情は悲しげであった。


「今日はもう撤収したほうがいい」


 デルフたちはこれ以上の追撃は危険だと感じ本部に戻ることを決めた。


 そして、ラングートの死は騎士たちに強い動揺を与えた。

 特にその実力を知っている卒業生だった者たちには目に恐怖の色が映っていた。


 しかし、悪い知らせの殆どが連鎖する。

 本部とはまた違う場所で国を揺るがす大事件が起きてしまった。




「よし、今日の仕事はこれで終わりですわ。最近は仕事が溜っていましたからやっと一息付けますわね」


 とんっと資料であった本を机の上に置きうーんと背伸びをする。


 そのとき後ろから足音が聞こえてきた。


「誰かそこにいますの? お茶を入れてくださらないかしら?」


 だが、返事も返って来ずその足音は止まることなく近づいてくる。


 不審に思い振り向くとそこに短刀を持っている見知った人物がいた。


「あら? 珍しいわね。こんな時間に……」


 その人物は一言も発しないでそのまま来た道を戻っていく。


 訝しげに思っていたが突如目の前が赤く染まり最初は何が何だか分からなかった。

 しかし、酷い脱力を感じこれは自分の血であると理解できた。


「な、ど……う……して……」


 視界が徐々に暗くなっていく中、その人物の後ろ姿を見ることしかできなかった。


 最後に見た物はキラリと輝く短剣だった。

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