夜を歩いて

 もう夜ともいえる時間に昼の休憩を取る。

 安い冷凍食品を詰めた弁当は味が濃く田舎臭い。食事をするだけで惨めになるのももう慣れが、平気なわけではない。


 食後散歩に出た。会社にはいたくないと、休憩に入れる日はあてもなくふらつくのが日課となっている。

 歩道を辿っていると、いやに人が多い事に気がつき、今日が三連休のはじめだと思い出し、臍を噛む。

 公園に差し掛かるとジャズシンガーがライブをしており、幸せそうな連中が聴き入っていて、俺は自身が人間として不完全な生き方をしているような気になって、各人の囁く艶色の声に忸怩たる思いがした。


 曲が終わり拍手が響くと、すかさず二曲目が始まった。人生にも二度目があればなと、くだらぬ卑屈を抱いて、俺は公園を後にした。

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