才覚

 ありがたい事に公式レビューをいただけた。金の卵。だそうだ。

 スポットライトの当たらぬ身なればこれほどの光栄はないと内心浮かれるも、冷めた気持ちが胸の高鳴りに水を刺す。


 大した事はない。気紛れで選ばれただけだ。現に見てみろ。PVは増えても星は一向に付かず、フォロー数も増減が激しい。読まれる数も日に日に減っている。ブーストが切れたんだよ。所詮お前の話はその程度。御膳立てされて尚駄作だ。


 こういう思考は自分が傷付かないための防衛手段に他ならない。卑しく矮小な精神の現れである。しかし、現に俺は卑しく矮小な俗物なのであるから、そうした情動を抑える事はできない。


 書籍化、漫画化、アニメ化、映画化、夢はある。目標がある。読んでもらいたい。知ってもらいたいという欲望がある。しかし、それが叶うのはいつの日か。目処は未だ立たない。


 書いてる連載物を読む。茶番の色が強い気がして恥ずかしい。

 昔の作品を読む。なんとなく、落ち着く。果たして以前の自分の方が才があったのではと考える。前を向けない。気分が沈む。昔に戻りたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る