悪い夢

 日に日に酒の量が増える。

 脳にこびりつく不快感が拭えず、寝れず、酒で逃避をしていると、一合が二合に、二合が四合にといった具合に、心が欲するようになる。


 盃を見る。飲み口の辺りで、酒が揺れる。

 満たすのが酒ならば、乾かすのもまた酒だ。くううつろを注いでも隙間は埋まらず一と時の錯覚に溺れるばかりで、不毛な時間がただ過ぎる。定まらぬ目でニュースを見ると、著名人が好き勝手な言葉を吐いており不愉快な気持ちとなって、また、酒が入っていく。


 誰が何を言おうが関係ない。明日も安い金で使われるだけだというのに、馬鹿な話だ。俺はいつだって無益な感情に支配され緩やかに壊れていく。救いなく、救われようともせず。


 今日が終わる。酒を飲み、時間を見送る。後何年、こんな事をしなければならないのか。生きる意味がない。死を切望する明日が、また、やってくる。


 生は苦しみ世は地獄。

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