汚泥が如き言

 仮に書いた作品が本になったとしてそれで食べていけるのか。


 書店。

 漫画や雑誌には人ひしめくが小説の棚は山のように不動で寂寞。聞いた事のない作家が書き上げた聞いた事のないタイトルが並ぶだけで、影すら見られない。名もない作家達が人知れず読まれない作品を築いていくと思うと心荒む。


 売れぬ書籍も映像化すれば手に取られ、文字を目で追われる事もあるかも知れない。しかしそれは、書き手にとって……


 添え物としての小説を是とするか否とするかを問う気はない。如何に議論したところで答えは出ないし、価値の有無は各々の胸の中にあるからである。

 だが、月並みだが、何のために書くか、何を書きたいかがぶれてしまうと、途端にその小説は光を失う。物を書くというのは、自身の心の内を写し表現するものなのだから。


 俺は、書けているのだろうか。心の内を。

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