第12話
なんか人の物にしか魅力を感じない的な人格破綻者とかっていなかったかしら。
自分の番が来るので走る位置に付く。横で烏谷は笑って可愛らしいガッツポーズをしてくれた。
体感で百メートルはない校庭を八割ぐらいで走りぬき、次の人にバトンを渡す。あの笑顔で私の想像する人格破綻者だったらただただ怖い。
あ、足は結構速い。
卵焼きに卵の殻が混ざっている感じ?そんな風に思いながら接っしていくようにした。
「バレーのサーブのコツを教えてください」
「手首と肘の真ん中にぐらいに当てるだけよ。あとは角度と勢いね」
バレーの練習でも同じになっている。数日間の昼休みは烏谷と一緒だ。烏谷は案外私のことを頼ってくる。神経が図太いのか、鈍感なのか。
「・・・できた。小鳥遊さん!教え方うまいっ」
バレーのボールは放物線を描きながらネットを越える。
おおぅ、だよねぇ、私。それにしても烏谷は運動神経自体は良いみたいね。私の教え方もうまいんだけどね!
「烏谷さんは部活とか入らないの?運動神経いいし」
「ああ~、一応美術部には籍があるだけど、今から新しい競技とか始めてもあんまり意味ないし、疲れちゃうからいいかな。もっとのんびり過ごしたくて」
へへっ、とボブの短い黒髪をかいて、何かに照れながら言った。
揺士と同じタイプか。え、そういうこと!恋愛したいって、イチャイチャしたいってことですか!?アバズレがっ!・・・口から出る寸前だった。危ない、危ない。
「そっか。まぁ、疲れるもんね」
「勉強も難しいし。特に数学がやばすぎ。もうレベルが高すぎだよっ。すでに赤点ギリギリだしさ」
「ほんと!高校から数学がレベル上がりすぎだよね」
「けど小鳥遊さんはめちゃ点数高いって聞いたけど」
「余裕よ、余裕。ちなみに八十五点~。」
「さっきの共感は何だったの?もう!英語で勝ってるからいいもんっ」
「何点だったのよ?」
なんやかんや言って、リレーやらバレーやらの練習が同じだとお話しすることが増えてくるわけで。それに人数がどうしても絞られるから話さないわけにもいかないし。
時折キレながら、仲は深まっていった。大変、遺憾ですけど!本心から会話を
楽しんでるわけじゃないので!
ちなみに、綱引きの練習は片付けが面倒とか理由で一発本番。綱引きって手も痛くなるし汚れるし、男子だけがやればいいのに。これマジで全女子の願い。応援だけはしてあげっから。
放課後の練習は部活があるためない。昼休みの練習だけ。
体育祭はあっという間にやって来る。
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