第6話
クラスの号令係の声と先生のお辞儀でクラスメートが続々と教室から出ていく。
割り当ての掃除はなし、部活もなし。ほんとうだったら部活はあるけど、この期間は特別になくなる。
案外好き嫌いの別れる、テスト期間だ。
嫌いな理由はご察しってところ、好きな理由は実力を試せるとか、きつい部活がなくなって遊べるとか、テストに自信がある人意見みたいね。かくいう私も実力を試せるから好きな方。
前だった揺士を待つんでしょうけど、当然のように一人で帰る。人間すぐに適応できるものだ。
揺士に勉強を教えていたリソースも自分の勉強に回せる。本気を出して五位ぐらい狙ってみてもいいかもしれない。
コンコン、何やら窓から音がする。
分かってる、正体も目的も。葛藤する気持ちで進まない手も最後は窓を開いた。
「勉強を教えてください」
心の中で甲高い高笑い、空いた手でガッツポーズをする。
そうよ、そうよね!テスト期間になってやっと実感したタイプだ~。今回はいつもより時間が少ない。誰かさんがうつつを抜かしてたから。赤点取らないように厳しめにいったほうがよさそうね。
はっ!いや、どうせなら赤点取っていっそののこと幻滅されれば・・・
「はぁ~いいわよ。今から行くから待ってなさい」
留年とかされたら人生の傷になるし、一時の感情でやるほど私バカじゃないから、揺士と違って。
ホントに留年したら、学校やめて子供部屋おじさんになりそうと思ったからではない。
「休憩を・・・ください」
「高校のテストを一週間で乗り越えれると思ってる脳に休憩なんて必要ないわ」
視線がぶつかり合った結果、揺士:完敗。
テストや勉学において、揺士が勝てるはずがなかった。何度美結のおかげで助かっているのか。
成績優秀な美結。点の取り方も分かってる。ついでに、揺士の弱点など諸々も含めて。揺士は地頭はまぁまぁある。学校自体もそこそこの偏差値で、その学校に揺士も実力で入ってる。
二週間後。
テスト期間に、本番のテスト、そしてドキドキ、ワクワクのテスト返し。
何とかなった。
揺士は平均を地でいき、美結も学年三百名の中の十七位と上位で終わった。
テストは大事だ。受験勉強の一助ともなるしのに加えて評定にも大きく関わる。評定が高ければ推薦で決めれる場合もある。
美結が気になっていたのは二つ。揺士のテスト結果。
そして揺士の彼女、烏谷のテスト結果だ。
美結はどう聞けばいいか分からかった。人づてに聞こうにも誰も知ってる人がいなかった。
烏谷からすれば勝手に敵対心を持って距離を置いた奴として自ら聞きに行くのも、無理だった。後、普通に嫌いだった。
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