第36話 シャンボール城建立
1日の授業を終えてみて、ジャンヌの授業態度は特に問題無かった。
熊獣人族の里では王子(本当は王女)であり、父である国王熊吉を除いて熊獣人界最強で最高位だったので、自分より上位者であるラフラン王国フィリップ第1王子に対するマナーを知らなかったようである。
あとは言葉使いが男っぽい事であった。
しかし貴族院は普通の学校と違って、成人した貴族に必要な教養を身に付ける所なので、ジャンヌの言葉使いは徐々に良くなるだろうと、千代は思った。
もう1つ問題が有るとすれば、ジャンヌが国王に成る事を目標にしてる事だ。
もしそれが発覚すれば、王位継承順位第1位のフィリップ王子に対する不敬罪で処罰されてしまうかも知れない。
それだけは気を付けなければいけないと千代は考えた。
「不敬罪に成らない様に、目に余る発言をする前に介入しなければなりません。それがペネロペ様から与えられた私の役目なのでしょう」
千代は1つの方法としてジャンヌを餌で釣ることにした。
ジャンヌを千代手作りの甘い御菓子で
王子に対するマナーと敬語を
因みに千代は料理や菓子作りには自信があった。
子供の頃から料理やケーキを作っていたし、暇な時は先ずクッキーやケーキを作る事が日常だったのだ。
学院から後宮に帰ると、ジャンヌの祖母の王太后ビクトリアと母の王姉ペネロペと一緒に、その日のジャンヌの王子に対する態度を検討して採点し、出来具合に応じて御菓子を褒美として提供した。
とても良く出来た時は、新作のケーキを加えて御馳走したりする。
ジャンヌは甘い物好きだったので
千代は自由時間があると、ローリー工房で魔法付与と珪砂精製、ガラス細工陶磁器製作も続けていた。
ラルーシアに付いて魔導士修行も行っている。
ラルーシアの所持している
そしてラルーシアと千代は、王太后の離宮の建造にも取り掛かった。
建設予定地と設計図と予算が、意外と早く決まったからだ。
どうやら王太后は、以前から離宮の建設計画を練っていたようだ。
学院に入って最初の休日になると、ラルーシアと千代はフィレネー山脈に転移した。
そして沢山の大理石と花崗岩をインベントリに収集して後宮に戻ってきたのだ。
学校は週5日制だったので、次の休みの2日間で王太后の離宮を図面を見ながら完成させてしまった。
筆頭建築士だけを建設予定地に同行させて、秘密厳守で3人だけで離宮を建て始めた。
筆頭建築士とラルーシアの指示に従って、殆どの作業は千代が行う。
土地を【整地】して、長方形に整えた大きな花崗岩を【インベントリ】から出して、土台として並べていく。
柱や床などの見える部分には光沢のある大理石を使う。
石の間の繋ぎには石灰から作ったセメントを塗り。建築士に言われるままに建築材料を加工して【インベントリ】を経由して、
魔力が豊富な千代は、たった2日で美しい城をロワール川沿いに
それは間違いなくダンジョン核の魔力で成長した【インベントリⅩ】スキルのお陰で、たぶん他の誰にも出来ない事であった。
そして更に、千代とラルーシアが魔法で作った城は建築費が限りなくゼロに近かった。
用意していた建築予算は筆頭建築士とラルーシアと千代の人件費が殆どで、予算が大量に余ってしまった。
ヴィクトリア王太后は、こじんまりとした離宮を王城の敷地内に作ろうと思っていたのだが。
隠居の為の離宮である筈が、既存の王城を凌ぐ壮大な離宮が出来上がっていた。
千代は、ただ設計図に従って組み立てただけであったが、ラフラン王国王都のシュリシュルワール城よりも豪壮で優雅な佇まいで、離宮と言うよりも大帝国の皇城にしか見えなかった。
「ヤッチマッタナァ!」
と、言われてもしょうがないと思う。
離宮の名前は王太后により「シャンボール」と付けられた。
やがて、調度品は千代が趣味で作ったガラス製品や陶磁器が飾られることになるのだが、訪れた貴族達に求められるままの結構高額な金額で買い取られることになる。
職人レベルⅤに成長していた千代は、離宮に飾られる調度品の売り上げだけで預金が勝手に増えて行く事になってしまうのであった。
離宮は王城から2キロほどの場所なので、貴族学院にも歩いて通えそうな距離だった。
勿論、馬車を使うので歩いて通う事は無いのだが。
離宮建立翌日、国王が王太后と共にシャンボール城を見学に来た。
王妃や王子達など、王族一同を引き連れている。
「母上、予算を殆ど余らせておいて、このような城を作ってしまうなんて! 一体、閣僚や貴族達に何と説明するつもりですか?」
「おほほほほ……。我が子ルイ国王よ、女神様が降臨して一夜にして建てて下さったことに致しましょうか?」
「め、女神様が……!」
「予算も使わず短時間で建てたとするならば、女神様のお陰以外考えられないでしょうから。おほほほほ」
「はぁ……取り敢えず、そうしときましょう」
国王はラルーシアと千代の王太后への献身に応えて、2人に貴族籍を正式に与える事にした。
ラルーシアに男爵を与えて、千代には騎士爵を与えた。
平民だった千代には、異世界に於ける正式なファミリーネームがまだ無かったので、ボアルネという古い空席の貴族籍を与えた。
望月千代はジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ騎士爵としてこれから生きていく事になる。
勿論チヨと名乗り続ける事により、帝国に異世界人だと感づかれない為でもあった。
2人は法衣貴族として、シャンボール城でヴィクトリア王太后・ペネロペ王姉・ジャンヌ令嬢と暮らす事になった。
離宮内では側仕えでは無く法衣貴族として、王太后と一緒に食事の席に着き、御茶や演劇や音楽などを一緒に楽しんで暮らす。
錬金術工房とガラス陶磁器工房も離宮内に確保されていて自由に使う事が出来、庭とグリーンハウスでは錬金術に必要な植物も育てさせて貰った。
千代は王太后とラルーシアと話し合って、ダンジョン核をシャンボール城の地下深い最下層の部屋に設置する。
しかし、千代のスキル【インベントリⅩ】にマナを注いだ為に、ダンジョン核の魔力はカラカラに成っていた。
当初は王太后がマナを注いでダンジョンマスターとなる予定だったのだが、人族としては結構多い魔力量の持ち主だった王太后ではあったが、ダンジョン核をマナで満たすことは出来なかった。
王姉ペネロペ、魔導士ラルーシア、ジャンヌとダンジョン核にマナを注いだが、それでもマナは足らない。
結局は最後に魔力を注いだ千代によってマナが満タンとなり、ようやくダンジョン核が再起動したのだった。
しかしその結果、ダンジョンマスターは一番魔力を注いだ千代となってしまった。
「よいよい、チヨがダンジョンマスターとして我々をダンジョン管理者に任命してくれれば良いのじゃ。離宮をダンジョン化して戦や反乱を起こすつもりは無いのだから、許可の無い悪者が侵入しなければそれで良いのじゃ。衛兵の代わりにダンジョンが屋敷を守ってくれるじゃろう。おほほほほ」
千代は、ダンジョン核が管理するダンジョン範囲を建物と庭と外壁に指定して、管理者・使用人・出入り許可などを必要に応じて順次与えて行った。
そしてマスター権限で、許可の無い悪者が侵入した時だけ魔物が出現する設定にした。
ダンジョンマスターは後任を指名してダンジョン核を移譲出来るらしいのだが、冒険者を倒す事でダンジョン核にマナを補填する事をしない予定なので、魔力量の多い千代がダンジョン核にマナを補填する為に、そのまま暫くシャンボール城のダンジョンマスターを続ける事で落ち着いたのであった。
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