第34話 貴族学院に入学

「母上、私は国王になるのです。貴族学院に行くより王国支配の準備をしたいのです」


「あらジャンヌ、貴族学院に通う事が王国支配の準備になるのですよ」


「そうなんですか?」


 ジャンヌの母ペネロペは、実は王国支配には興味が無かった、ただジャンヌと一緒にラフラン王国で暮らしたいだけなのだ。



「貴族学院では領地経営と行儀作法と武術と魔法を学ぶのです。いずれも貴族にとって必要な教養なのです。貴方が国王になったとしても、これらの教養がなければ国民の信頼を得られ無いばかりか、閣僚や部下の心も離れてしまうでしょう」


「それは困りますね」



「それに貴族学院で沢山お友達を作って、国王に成った時の為に優秀な人材を集めておかなければなりません」


「それもそうですね」


 ペネロペはジャンヌが沢山友達を作って、早くラフラン王国に馴染んで欲しいだけなのだった。



「チヨ様にフォローして貰いながら、貴族に必要な教養を身に着けるのですよ」


「はい、お母様」



「チヨ様もよろしくお願いします」


「はい、畏まりました」





 2日後、貴族学院に通う準備を整えたジャンヌと千代は、馬車に乗って学院に初登校した。


 貴族学院はシュリシュルワール城から近く、広大な敷地には初等科学校と幼年学校も併設されていて、運動場や研究施設や学生寮もある。


 貴族学院は大理石の宮殿の様な大きな建物だった。

 ジャンヌは成人している為、初等科学校には通わない。



 教師に成った魔導士ラルーシアに連れられて、ジャンヌと千代は学院長室に転入の挨拶に行く。

 部屋の中に入ると、小さくてしわしわのおじいちゃんが、大きな椅子にチョコンと腰かけていた。


「王姉ペネロペ様の娘ジャンヌ様をお連れしました。控えているのは側仕えチヨでございます」



「御苦労様、入学おめでとう。新入生にはクリスタルで魔力検定をしてもらう事になってるのじゃ」


 ジャンヌは、テーブルの上に置かれたバレーボールぐらいの丸いクリスタルに両手を添えた。


 ピッカァァァァァ!



ジャンヌ・アルテュール15歳

種族 人族・熊獣人族

職業 王女

Lv20

HP200/200 MP100/100


【戦闘スキル】

 格闘Ⅲ 剣術Ⅲ 棒術Ⅲ


【魔法スキル】

 火属性魔法Ⅰ

 水属性魔法Ⅰ

 風属性魔法Ⅰ

 生活魔法Ⅰ


【固有スキル】

 熊獣人王Ⅱ



「ほぅほぅ、凄いのぅ。1年生ではトップクラスのステータスじゃあ」


「ありがとうございます」



「ところで、そっちの侍従にも魔力検定をして貰おうかのう?」


「学院長、それは止めておいた方がいいです。この子の能力は規格外ですから」


「ほう、それは又興味深い。ぜひとも鑑定したいものじゃ、クリスタルに触っておくれ」


「はい」


 ビシッ、ピリピリピリピリッ、パッリィィィィィンッ!



「オォ、クルスタルが割れてしまったわい。クリスタルの鑑定能力を超えるステータスを持っているのじゃな!」


「はい、ですから止めておいた方が良い、と言ったのです」



「それじゃあ、ワシが直々に【鑑定】するとしよう。侍従チヨを【鑑定】!じゃ」


 ピッキィイイイイインッ!



チヨ15歳

種族 人族

職業 ガラス職人 陶磁器職人 店員

   魔導士 侍従

Lv20

HP200/200 MP5999/5999


【戦闘スキル】

 格闘Ⅱ 短剣Ⅱ 槍Ⅱ

 スラッシュⅡ


【魔法スキル】

 光属性魔法Ⅴ

  浄化Ⅴ 回復Ⅴ 解毒Ⅴ

  光の矢Ⅴ 雷撃Ⅴ 雷嵐Ⅴ

  状態異常回復Ⅴ


 闇属性魔法Ⅱ


 火属性魔法Ⅴ

  火弾Ⅴ 火槍Ⅴ


 水属性魔法Ⅴ

  水弾Ⅴ 氷弾Ⅴ 氷槍Ⅴ


 風属性魔法Ⅴ

  風刃Ⅴ 風槍Ⅴ


 土属性魔法Ⅴ

  整地Ⅴ 土弾Ⅴ 石弾Ⅴ

  石槍Ⅴ


 時空属性魔法Ⅴ

  インベントリⅩ 転移Ⅴ


 生活魔法Ⅴ

  着火Ⅴ 洗浄Ⅴ 乾燥Ⅴ

  料理Ⅴ


 魔法付与Ⅴ

  保存+5 保冷+5 保温+5

  耐熱+5 新鮮+5 旨味+5

  美+5 輝+5 光+5

  魅了+5 筋力増強+5 重量軽減+5


【生産スキル】

 ガラス細工Ⅴ 陶磁器Ⅴ 採取Ⅴ

 畜産Ⅴ 農業Ⅴ 裁縫Ⅴ

 修復Ⅴ 解体Ⅴ 細工Ⅴ

 錬金術Ⅴ 書写Ⅴ ポーションⅤ

 スクロールⅤ 強化Ⅴ 合成Ⅴ


【固有スキル】

 鑑定Ⅴ 識別Ⅴ 仕分けⅤ

 調教Ⅴ 獣医Ⅴ 門前の小僧Ⅴ

 念話Ⅴ 伝言鳩Ⅴ



「なんと! 戦闘スキル以外は殆ど上限のレベルファイブに達してるではないか。しかも沢山のスキルを持っておるのじゃ。

 そしてなんと言ってもMP5999じゃ、すでに人族の限界を超えておる。

 さらにインベントリはレベルテンだと! 妖精族の限界レベルじゃあああっ! ハァ、ハァ、ハァ……」


「丸裸にされた気分で恥ずかしいです……」

 と、千代が呟いた。



「お主は一体何者なんじゃ?」


「チヨは良い師匠の元で修行を続けただけなのですじゃ。勿論良い師匠とはラルの事ですじゃあ。チヨはラルの愛弟子まなでしなのじゃ」



「凄いのぅ。王国内で……いや、人族の世界でトップクラスのステータスじゃのぅ」


「ありがとうございます」

 と、小さな声で千代が言った。



「学院長、この子の事は王国の極秘事項に成ってますのじゃ。勝手に鑑定されたのは不本意じゃが、済んだ事はしょうがないので、他言無用でお願い致しますのじゃ」


「そうだったのか。鑑定してすまなんだな、秘密保持は了解じゃ」



「実は誰もこの子の事は、鑑定出来ないと思っていたので油断していましたのじゃ、さすが学院長様ですじゃ」


「しかしラルーシア、お主の話し方は変じゃのう。可愛い見た目に不釣り合いじゃのう」


「ラルはこの話し方に成ってから、まだ1ヶ月ほどなのですじゃ。師とは、この様に話すものと決まってるそうですのじゃ」



「そ、そうなのか……まぁ良い。担任もお主じゃから、2人を教室に連れて行って生徒たちに紹介しておくれ」


「はいなのじゃ」



 ラルーシアとジャンヌと千代は学院長室を出て教室に向かった。

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