第16話
テストの終わりを告げるチャイムが鳴った。
テストの答案を一番後ろの席の人が回収していく。
「どうだったよ」
隼人が早速そんなことを聞いてくる。
「ぼちぼち」
まあはっきり言えることは『感情当てゲーム』は全く役に立たなかったということだ。
「どちらにせよ今日から暫くはゆっくりできるな」
「確かに」
「そう言うわけだからどっか行かね?」
「どこか?」
「そ、カラオケとかボウリングとか。勿論いろんな人誘ってな」
流石はリア充。
俺には全く思いつかないものだな。
「いや、俺はいいわ」
「え、何で?」
「べつに………何となく」
「人付き合いが苦手か?」
「お前のそう言うところ嫌いだわ」
そう言うと隼人は笑った。コイツは人のことをよく見ると言うか、簡単に思っていることを言い当ててきやがる。
「まあ、いやいや連れていくのも違うし今日はやめといてやるよ」
「ああ………すまん」
「悪いって思うんだったら今度は断るなよ」
「………考えとく」
放課後、成海が「一緒に帰ろ」と声を掛けてきて、俺は断る理由も無かったためそれを承諾していた。
何でコイツ等は同時に話しかけてこないんだろうな。
「隼人、クラスの男子で遊びに行ってたけど、アンタは行かなくて良かったの?」
「人付き合いが苦手って知ってるだろ?」
中学の頃からの付き合いだろうが。そろそろそう言うのを分かってくれても良いんじゃないのか?いや、まあそんなに仲良くはなかったが。
「はあ………」
「な、何だよ」
「アンタ、そんなこといつまでも言ってたら高校でも一人になるわよ」
「でもだな………」
「少しは努力しなさいよ」
「…………」
「アンタが一人って言うのも何だか気に食わないのよ…………」
「はあ?何だそれ」
「っ………い、今のナシ!」
「いや、訳が分からん」
「あーもう!忘れて!!それよりもアンタ変なことしてないでしょうね」
「変なこと?」
「それは………楓さんよ」
「いや、するわけないだろ」
ガチで。俺からは一切。
「本当?」
「俺に対する信用はゼロか」
「………まあいいわ。アンタにそんな度胸も無いだろうし」
「じゃあ何で聞いた」
「まあ、それが聞けて良かったわ」
「それが聞けてなんでお前がいいんだろうな」
「…………」
「…………」
「か、帰る!」
「そうか」
「………バカ!」
そう言い残して成海は走っていく。
「いや、それは訳が分からん」
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