第7話
「お、おす」
朝の学校。
俺が自分の席に座っていると声を掛けられた。
「おはよう」
友達だけはイケメンと言うお決まりパターンである。
傍から見れば、あれ?何でアイツとお前が友達になれるの?と言った目を向けられる。
友達になった切っ掛け?そんなもん知るか。
「ふう………」
「何であからさまにホッとするんだよ」
「いや、だって昨日一斗スゲー機嫌悪そうだったから。今日は普通だな」
「昨日………まあ、そうだな」
叔母が死んで急に一人暮らし何て言われれば誰だってそうだ。
「だから声かけ辛くて」
「あーそれは悪かった」
だがそれが態度に出て悪い思いをさせてしまったのなら申し訳ないと思う。
「それで、何かあったのか?」
まあ、隠すほどでもないが………。
「一人暮らしをすることになった」
「え!?マジで」
「マジだ。しかもそれが決まったのが入学式の前日。どうかしてるだろ?」
「それで機嫌が悪かったのか?」
「そうだな。親に対する不満で」
「そうかー………にしても一人暮らしねー」
「何だよ」
「いや、自炊とかできるのか?」
「………それは問題ないな」
ほとんど俺がやるわけじゃないし。
頭にぱっと楓の笑顔が浮かんだ。
「それに誰でも連れ込み放題だろ」
「俺をお前と一緒にするな」
「そんなこと言っていつかは一人ぐらい女の子を家に招くんだろ?」
「…………」
未だに俺の頭には楓の姿が明瞭に映っている。
「へ?」
絶賛家には女子が一人いるんだよ、なんて口が裂けても言えない。
「お前さ」
「…………」
口が裂けても。
「もういるとか、そんな落ちはなしだからな?」
言えない。
「心配するな。そんなことはない」
「いや、流石にもう逃れられないだろ」
「何の話だ?」
「お前のその都合が悪くなると誤魔化す癖も相変わらずだな」
「…………チッ」
「舌打ちをするな、舌打ちを。で、なんで一人暮らしを始めた初日から同棲してるんだよ」
隼人は俺たちだけが聞こえるくらいの声量で尋ねてくる。
だがここで馬鹿正直に未来からの嫁が来た、なんて言えるはずがない。
と言うか言っても信じないだろうな。
「ちょっとした事情で………」
中途半端に誤魔化す。
「事情、ね」
「頼むからそれ以上は言及しないでくれ」
「しねえよ。お前の家がちょっと特種って言うのは知ってるから」
「隼人………」
「その代わり今度紹介しろよな」
「一瞬でもお前と友情溢れる空気を醸し出した俺が馬鹿だった」
紹介してたまるか!
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