第4話 妹の殺人計画
会計は僕と賀条で折半した。店を出てすぐに賀条に車の鍵を渡された。
「運転よろしく」
「家に帰ればいいの?」
すると賀条は電灯の下の薄暗さでも分かるほど感情の欠落した表情に早変わりした。そしてタバコを取り出すとすぐパッケージを握りつぶした。
「コンビニ行くけど、なにかいる?」
「僕はべつに」
「じゃあ炭酸で」
彼はそのまま歩いて駅に向かった。僕たちは駐車場に向かい、佐環が指差す車に乗り込んだ。
僕が運転席に座ると、佐環は助手席に座った。
シートベルトをしめると身体のラインが強調される。僕は頭に結婚してくれという賀条の言葉が響いた。
「なんで殺すんだよ。兄妹だろ」
「あいつ、ずっと引きこもってるんだよ。もう大学でて3年は経ってる」
「だから、なんで」
「なぁ、引きこもりって生きてる価値があると思うか? 答えてくれよ」
「あるよ」
「なら、あいつの面倒を見てやってくれ。俺はもう、疲れたよ」
「ねぇ、話があるんだけど」
「何? またイタズラのお誘いかなんか?」
「イタズラ?」
「小学校のときみたいにさ」
「あぁ、そんなこともやったなぁ。なっつかしぃ」
「で、話って」
「賀条をぶっ殺したいんやけど、手伝って」
僕は言葉を失った。
「びっくりした?」
「賀条とケンカしたんか?」
「私さ、賀条みたいな身体だけの奴が生きてる理由なんてないと思うねんな。だってさ、あいつ馬鹿やし生きてる理由あるのか? みたいな。あいつの仕事とかどうせ1日で、いや秒で代わりが見つかる程度やろうしさ」
「だからって、人が簡単に死んでいいはずないやろ」
「お前に何がわかんねん」 彼女は僕の胸ぐらを掴んだ。
「あいつの一言一言がどんだけ、どんだけ」
「痛いよ、離して」
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