第2話 再会

言われるまま、JR京橋駅の改札を抜けるとすぐに賀条がいた。そしてその隣には髪を焦げ茶色に染めているものの往時の面影をそのまま残した佐環がいた。

「とりあえず予約したところがあるから、そこいこ」

そうして、彼の運転で僕たちは個室居酒屋に向かった。

酒は嫌いだと僕は言ったが、佐環が目の前にビールをおいた。熱湯を飲むように少し胃に流し込むが、ジョッキの泡の線はまったく減らない。その間に兄妹はやたらと酒を飲んだ。

「もう運転はお前がやれよ」と賀条が僕の残りのビールを奪い、喉仏が激しく上下する勢いで飲み干した。

「つまんないなぁ」

「飲めない奴の酒なんてもったいないやろ」

「……やっぱりつまらんねんって」

兄妹が無駄な口論をはじめたので、僕は高校以降の二人についてたずねた。

賀条はスポーツ推薦で大学に行き、そのまま体育教師の免許を得て、そしていまは車関係の仕事をしているとのことだ。どこでそのプロセスになったのかを聞こうかと迷ったが、賀条が話終わるとすかさず佐環が、女子大でのサークル活動について話始めたのであった。


「二人って、仲いいねんな」

「ん? なんでよ」

「兄妹で一緒に飯食いにいくものなんかなって思っただけ」

僕はウーロン茶でホルモンの脂を飲み込んだ。

佐環は右斜め上の橙色の電球を眺めたまま僕と顔を合わせようとしない。

「べつに、タイミングがあったから佐環も誘っただけで、いつも一緒ってわけじゃないねんな。こいつの予定なら空きだらけやし」

「ええやんべつに」佐環は低い声で吐き捨てた。




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