第8話 死を呼ぶ少女8

008


「橘ってさ、暇なの?」


 その日の夜、公園のベンチに座ったまま、僕は尋ねた。


「違いますよ。吸血鬼さんを愛しているんです」


 橘は鉄棒の上で体操選手さながらにバランスをとって歩きながら答える。


「はいはい、ありがとう。嬉しいよ」


 僕はそんな橘のシュールすぎる状況には一切触れることなく、適当に相槌を打つ。


「もう、また本気にしてませんね! おっと……」


 橘は一瞬、バランスを崩しそうになるも、ギリギリのところで持ち直し、また鉄棒の上を歩き始めた。


「いや、本気も何も……」


 僕は呆れたように呟く。


「逆にこれ以上どうすれば信じてくれるんですか?」


「うん、とりあえず家に来ることはやめてもらえると嬉しいかな」


「それは無理です」


「……君、まさかこの後も家に来るつもりじゃないだろうね?」


「………………………………………」


「おい、目が泳いでるぞ」


「……気のせいですよ」


 現在進行形でそんなことを言う橘。

 そんな橘の過激すぎる愛情表現は一旦置いておくにしても、実際のところ彼女の気持ちはわからなくもない。


 こんな時間に毎晩やってきては日が変わるまで過ごしていることから想像するに、おそらく橘が普通の家庭環境で育ってきたわけではないことは明白で、友人もおらずこうやって話ができる相手すらいなかったとなれば、――橘が僕に対してどんな感情を抱いているのかはおおよそ想像がつく。


 そして皮肉なことに、それはかつて僕があの美しい吸血鬼に魅了されていったのと同じ理由だった。


「私、吸血鬼さんには感謝しているんですよ?」


 ふと、そんな風に切り出したかと思うと、橘は先ほどまで立っていた鉄棒の上から軽やかに飛び降りて、僕の方へ歩いてくる。


「感謝?」


「ええ。だって、まさか私がこんな風に誰かと話ができて、冗談を言い合えて、そして――誰かを好きになれるなんて思っていませんでしたから」


「…………」


 橘はそんな風に何も言えなくなった僕の目の前に立つと、


「だから、吸血鬼さんには本当に感謝しているんです」


 と、どこか艶のある声で橘は僕の耳元にささやいた。


「――っ!?」


 まったく、これだから美人はずるい。こうやって何気なくささやくだけでこんなにもどきどきしてしまうのだから。


「ふふ、吸血鬼さんって意外と単純なんですね?」


「え?」


「そうやって顔を赤くしているところ、結構可愛かったですよ?」


 ……ほら、やっぱり美人はずるい。結局昨日は橘を振ったものの、所詮恋愛経験ゼロの僕が橘みたいな美人にこんなまっすぐな好意を向けられるとこうやってすぐ動揺してしまう。


 何だかんだ言いながらも、きっと僕が橘に陥落する日はそう遠くないのだろうと薄々勘づいていた。それでも僕が橘を受け入れないのはきっと不安だからだ。


 ――彼女はきっと寂しかっただけなのだ。


 寂しかった『だけ』と言いながら、その苦しさや空しさは到底他人には測りかねるものなのだけれど、しかしここで問題なのは――その相手が別に相手は僕である必要はないということで、たまたま死ななかった相手が僕しかいなかった――だから僕が選ばれた。たったそれだけのことだった。


 橘が僕に好意を抱いてくれる理由は、たったそれだけのこと。僕を選んでくれたわけではなく、きっと橘には僕という選択肢しか残っていなかったのだ。


 だから僕は不安になる。僕を『選んだ』のではなく、『選ばざるを得なかった』橘がいつか僕から離れて行ってしまうのではないかと。


 そんな僕の心情を知ってか知らずか、橘は口を開く。


「確かに、吸血鬼さんの不安はもっともです。でも……」


「でも?」


「でも、これ以上なく純粋な愛ですよ? ちょっと重いですけど」


橘は少しにやついた表情でこちらを見る。


「……ちょっとで済むもんか」


『私にはあなたしかいない』なんて言葉はよくドラマや小説なんかで使われるフレーズで、確かにその言葉が示す愛情は少し重いけれど、それ以上にとても純粋なものなのだろう。しかしいうなればそれは――代替可能な『愛』だ。


 とはいえきっとそれは僕も同じようなもので、結局のところ、死なない僕と殺し続けてしまう彼女はお互いがお互いの存在に依存し合っていた。


 それほどまでに僕たちはきっと飢えていたのだ――誰かと触れ合うことに。


「そういう意味では吸血鬼さんはまだましですよね。だって吸血鬼さんは人に触れられるんですから」


「そうかな?」


「そうですよ」


 橘は何がそんなに嬉しいのか、ニコニコと笑みを浮かべながら僕に言う。


「でも橘だって昼間は普通の人間なんだろ?」


「知りませんでしたか? 私は吸血鬼さん以外の人間には興味がないんですよ?」


「……僕はもう人間じゃないけどね」


「なら人間なんて興味ありません」


「…………」


 本音を言うと、このとき橘が僕のことを人間と言ってくれたことが嬉しかった。僕のことを『吸血鬼さん』としか呼ばない彼女が、それでもまだ僕のことを人間だと言ってくれたことが素直に嬉しかったのだ。


 ――不意に出た言葉には本心が宿る。

 きっとそれは橘もまた同じなのだろう。


「だから、興味のない人間にいくら触れることができても……そんなの意味ないです」


「そうかな?」


「そうですよ」


 なるほど。だからなのか、橘のそんな意見に対してもどこか腑に落ちるところがあった。誰かの意見に対して素直に賛同することは僕にしてはとても珍しいことだった。


「橘、僕は――」


 僕が橘に何かを告げようとした瞬間、


 ――ビュン!


 と、何か黒い投擲物のようなものが橘の方に向かって飛んできた。


「――!?」


 瞬間、僕はそれを右手で払いのける。


 地面に落ちたその投擲物を見ると、それは黒い覇気のようなものでできていて、すぐに蒸発したように溶けていった。


 僕は、投擲物が飛んできた方を睨みつける。すると、公園内の木々が生えている方からゆっくりと巨大な黒い影がこちらに姿を現した。


 木々をなぎ倒しながら、近づいてくるその姿は言葉ではとても形容しがたく、先ほどの投擲物と同じようにただただ黒い覇気のようなものをまとった巨体な黒い『何か』が四足歩行でゆっくりと歩いていた。


 ふと、先ほど投擲物を払いのけた右手を見ると、もうほとんど回復しているものの少し変色していて、どうやらあの纏っている黒い覇気からは毒のようなものが含まれているのだとわかった。


「下がって!」


 僕は橘を庇うようにその巨大な『何か』と橘の間に身を乗り出した。


「……はい」


 橘は素直に僕の言うことに従うと、そのまま少し離れたところにある公園内の物陰に身を隠した。その声にはどこか残念さや不安のようなものが垣間見えた。


「……ったく」


 舌打ちまじりに悪態をつく僕の声からは隠し切れないほどの怒気をはらんでいて、そんな自分の態度に僕自身も少し驚いていた。


『ヴぉおおおおおお』


 しかし、そんな僕の感情などお構いなしに巨大な『何か』は僕の方へ近づきながら、先ほど橘を狙った投擲物を今度は何十本も生み出し、僕に向かって発射した。


 ――ドドドドドドドドドドドドドドド!!


 その一本一本が大きな音を立てて地面に穴をあけるほどの威力を持ったそれが僕の体を直撃したけれど、それに対して僕が何か反応することはなく、――僕はただただそこに立っているだけだった。


 いくつもの黒い覇気が僕の体を貫いていくけれど、それらは僕に何のダメージを与えることもできない。別に効いていないというわけではない。実際には死ぬほど痛いし、体も傷だらけになっている。

 まあ種を明かせば簡単な話で、ようは黒い覇気が僕にダメージを与えるよりも早く僕が再生しているだけなのだ。


 ――再生能力。


 吸血鬼の最たる能力で『死』すらも無力化できるそれはこの程度の攻撃くらいではびくともしない。先ほどは毒によって多少ダメージを負ってしまったけれど、さりとて一度食らった毒などもうすでに脅威ではない。


『ヴぉおおおおおお』


 明らかに言語能力すら失われているその『何か』に対して、話し合うという選択肢などないことは一目瞭然だった。


 実力行使しかない。その判断には私情も入っていたかもしれないけれど、そう決断するや否や、僕の行動は早かった。ゆっくりと近づいてくるその『何か』に対して僕は、


 ――ドンっっ!!


 と、何も考えず殴りかかった。


『ヴぉぉぉぉぉぉぉぉ』


 殴りつけられた衝撃で大きく吹き飛ばされたその『何か』は苦しそうな雄たけびを上げながら壁に激突する。


 そして僕はそのままグロッキーになっているその『何か』に馬乗りになって、


 ――ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!


 と、ただただひたすらに殴り倒した。相手が動けなくなるまで何度も何度も。


 ついこの間まで持っていたはずの、命を奪う罪悪感など頭になかった。ただただ目の前の相手が憎くて仕方がなかった。


 何度も殴り続けるうちに、さすがに右手に拳の回復が追い付かなくなったようで、少しずつ毒で変色していったけれど、僕は構わず殴り続けた。――ただただ自分の感情をぶつけるように。


 ――ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!!  ドン!! ドン!! ドン!!


 これまで感じたことのない不思議な感覚だった。

 無理やり説明するなら『高揚感』と呼ばれる感情に一番近いかもしれない。ひょっとしたら、憎い相手に復讐したり、自分よりも弱い奴をいじめているとこれに近い感覚を覚えるのかもしれない。


 一度殴っていくごとに僕の人間としての重要な何かが失われていくような感覚には気が付いていたけれど、それでも僕は何度も何度も拳を振り下ろした。それが『憎しみ』から来る衝動なのか、『快感』から来る衝動なのか、あるいはその両方なのか。そんな感情に無理やり気が付かないふりをして、いつの間にか僕は気持ちの悪い笑みを浮かべながら、もはや生死の判断すらつかないくらい弱り切っているその『何か』を夢中で殴り続けていると、




 ――ふわり




 と、まるでそんな効果音が適切であるかのようにゆっくりと黒い覇気が消え去って、空気に溶けていった。


 それはいつか見たのと同じく、命が自然に帰っていくようなあまりに綺麗な消え方で、そんな演出ができる存在を僕は一人しか知らなかった。


「…………」


 ふと後ろを振り返ると、そこには泣きそうな顔をした橘が立っていた。


 橘の右の掌は少し変色していて、先ほどの『何か』に触れてしまった代償だということがわかった。


「……ごめん」


 何に対しての謝罪なのか自分でもよくわからなかった。橘を危険にさらしてしまったからなのか、橘に怪我を負わせてしまったからなのか、それとも――僕がもう人間ではないと残酷なまでに橘に認識させてしまったからなのか。


 自分と心を通わせることができると思った存在は――やっぱり人間ではなかった。そんな事実を橘に突き付けてしまった自分自身がとても情けなかった。


「何で、吸血鬼さんが謝るんですか?」


「そ、それは……」


「吸血鬼さんは私を助けようとしてくれたんでしょう? それなのに何でそんなに……辛そうな……顔を……して、いるんですか?」


 橘はそう言って笑顔を作ろうとしていたけれど、その声はかすんでいて、彼女の目からは一粒の涙がこぼれていた。


「橘……」


 こんな時、自分が情けなくなる。僕は吸血鬼として万能の力を持っていながら、大切な人の涙すら拭うことができないのだから。


「私、吸血鬼さんのこと好きですよ」


「……どうして?」


 さっきまであんなに怯えていたじゃないか、辛そうにしていたじゃないか、なのに――なのに何で君はそんなことを笑って言えるんだ。


「怖かったです。正直に言って」


「…………」


「私が好きになった人はやっぱり人間じゃなかったんだなって改めて思うと、頭では分かってはいても何だかぶわーっとなっちゃって……。それで吸血鬼さんを傷つけてしまったのなら謝ります。ごめんなさい」


 橘はそう言って僕に頭を下げる。


「だったら――」


「――でも!!」


 僕の言葉を遮るように橘は続けた。


「でも、吸血鬼さんはいつも人間らしくあろうとしていました。だから、相手の命を奪うことを恐れたり、人間のために戦ったり、――私のために激怒して誰かを憎んだりするんですよね? それってとても人間味があって、人間臭くて、そして人間らしいことだと思うんです。例え人間であっても『人』でなしな人はたくさんいます。私の周りにはきっと今までそんな人しかいなかったんです。でも、吸血鬼さんは違った。吸血鬼さんはどんなに強い力を持っていても、どんなに憎む相手を前にしても、どんなに人に理解されなくても、どんなに孤独で挫けそうになっても、――それでも、吸血鬼さんはいつも人間であることを捨てなかった! 私は、そんな風に誰よりも人間らしい吸血鬼さんが大好きです!!」


 橘は目を真っ赤にしながら、それでも笑顔を浮かべていた。まるでその笑顔こそが彼女の強さの象徴だと言わんばかりに。


「前も言っただろ? そんな高尚なものじゃないんだ。僕はただ単に人間の枠から外れてしまうことを恐れているだけなんだよ」


 そんな風に俯く僕に対して、


「ふふ、吸血鬼さんって可愛い人ですね」


 と、橘は微笑みながらそんなことを言った。


「――!?」


 それはあの美しい吸血鬼が僕に言った言葉と瓜二つで、橘が浮かべているその少しいたずらっぽい笑みすらもまるであのときと同じだった。


「……なんで?」


 気が付くと口からこぼれていた。溢れていた。言葉が。本心が。


 誰かと心を通わせたいと思いながら、ずっとそんなことはできないと思い込んでいた。だって僕は吸血鬼だから。特別な存在だから。だからこんな風に素直な好意を向けられても僕は素直に受け入れることができず、こうやって何度も問いただしてしまう。我ながらみっともないことだという自覚はある。

 それでも、どうしても安易に信用することができなかった。僕なんかに近づいてくれる理由を、そのわけを――常に不安に思っていた。


「ふふ、前にも言ったじゃないですか。そうやって迷うことや不安に思うことだってきっと人間らしさなんです。だって、それは長い年月をかけて私が失ってしまったものだから。だから、私はそんな吸血鬼さんのことをもう怖いとは思いませんよ」


 ――肯定してくれるという安心感と否定されることがないという不安。


 僕はその両方を彼女から感じた。


 ……ああ、僕はこの人の為ならまた強くなれる。


 心からそう思った。


「橘……僕の傍にいてほしい」


 気が付くと、僕はそんな言葉を口にしていた。


「いいんですか? 死にますよ?」


 橘はいたずらっぽく笑う。


「いいさ。何度だって甦ってやる」


 僕は胸を張って答える。橘を安心させるように。


「……嬉しい」


 そう言って橘は僕にゆっくりと近づくと、


「大好き!!」


 そう言って僕に抱きついた。


 僕は人生で初めてできた恋人との抱擁をかわしながら――そのまま消滅した。


 消えゆく瞬間にちらりと見えた橘の笑顔がとても嬉しそうで、僕は不思議な満足感に浸っていた。


 我ながら単純だと思ったけれど、それでも少しだけ幸福に包まれたような気がした。

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