2 Doolin Dalton/Doolin Dalton Reprise

The Eagles アルバム「ならず者」Desperadoから


Doolin-Dalton

デューリン-ダルトン


歌詞の和訳と解説


 デューリン・ダルトン団はアメリカ西部開拓時代末期の強盗団。この歌はアルバム「Desparado」(ならず者)の冒頭を飾る。最後にまた「リプライズ」として新たに歌われ、アルバムのコンセプトが完結する。


 歌の構成は主人公(当事者達)の独白と、他の誰か、あるいは傍観者の言葉が自由に交錯する形になっている。短い歌詞とメロディーである情景を映し出すのはこうした自由さが必要であり、それが聞くものにあるときは難解さを感じさせ、あるときは深い感銘を与えてくれる。私の和訳もいちいちそれを指摘していると調和を乱すので、交錯をそのままにしている。

 また訳文の時制は出来るだけ守ったつもりだが、表現上重要でなければ、特に気にしてはいない。時制が気になる読者がいると思うので先んじて言っておく。もちろん、解読に重要な場合もある。例えば井原西鶴の文章などは特に気をつけないと、意味が正しく取れないことがある。

 これらの文学的自由と制限の交換は特に英詩だけのことではなく全世界の創作にも言えることである。


 この二連の楽曲の登場人物は、Bill Dalton(ビル・ダルトン)とBill Doolin(ビル・デューリン)。同じ名前だったので名字を連ねて呼ばれたらしい。この二人が首領で他の歌にも出てくる団員達がいる。

 Daltonはもと法律関係の仕事をしていたらしい。歌ではDoolinのほうが荒くれて野卑な感じを受ける。


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https://www.youtube.com/watch?v=CQhzrpZztl4

(リンクがいつまで存在するか分かりませんが、上の再生を聞きながら以下を読むことが出来ます。)


They were duelin', Doolin-Dalton

 奴らはデューリン-ダルトン強盗団

High or low, it was the same

 何をやってもうまく行かなかった

Easy money and faithless women

 汚い金とうわべだけの女

Red-eye whiskey for the pain

 目が赤くなるような安いウイスキーで痛みを癒やしたのに



Go down, Bill Dalton, it must be God's will,

 行けよ、ビル・ダルトン。こいつは神の啓示に違いねえ

Two brothers lyin' dead in Coffeyville

 お前の二人の兄弟はコーヒービルで殺されたんだぜ

Two voices call to you from where they stood

 やつらの声がお前を呼んでいる

Lay down your law books now, they're no damn good+

 法律なんか守っても良いことは全く無かっただろ


Better keep on movin', Doolin-Dalton

 逃げ続けることだ、デューリンーダルトン団よ

'Til your shadow sets you free

 ほとぼりが冷めるまでな

If you're fast, and if you're lucky

 すばやく逃げてしかも運がありゃ

You will never see that hangin' tree

 縛り首の木は見なくて済むだろうよ


Well, the towns lay out across the dusty plains+

 さあ、埃が舞う原野に俺達の町々がある

Like graveyards filled with tombstones, waitin' for the names+

 名前が刻まれていない墓石に満ちた墓場みたいな町だ

And a man could use his back, or use his brains

 そして人間って体を使う奴もいれば頭を使う奴もいる

But some just went stir-crazy,Lord, 'cause nothin' ever changed

 でも 同じところで働かされて気が変になる奴もいる、何にも変わらないんだから!


'Til Bill Doolin met Bill Dalton+

 ビル・デューリンがビル・ダルトンに会うまで

He was workin' cheap, just bidin' time

 安い賃金で働かされていたんだ、ただ時間が過ぎていくだけ

Then he laughed and said,"I'm goin,"

 そして彼は笑って言ったんだ「俺は行くよ」

So he left that peaceful life behind

 そういうわけでビル・デューリンは平和な暮らしを止めたってわけさ

ah...

mm...


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 そして9曲おいてリプライズが始まる。曲中にある

”Sooner or later we all have to die?”

”Sooner or later, that's a stone-cold fact,”

の部分は構成的にも楽曲的にも文学的な余韻を醸し出している傑出した部分である。


 中盤からアルバムの5番目の曲、有名な「Desparado」のサビの部分のメロディーが挿入される。強盗団の人生をポーカー・ゲームの手で表現している。曲の「Desparado」の同じ部分と対句的になっており、「Desparado」の主人公の運命による最後の展開に入ってくる。どうにもならなかったアウトローの荒れた人生が映し出される。


 そして、死体が並んだアルバムの表紙からEaglesのメッセージを想像するならば、最後に「撃ち殺された自分の死体」を見つめているであろう主人公の魂(多分、ビル・デューリン)との掛け合いがあり、誰かが

”Is there gonna be anything left, is there gonna be anything?”

”Ain't it hard when you're all alone in the city rain?”

と同情するように訪ねかけるフレーズも美しい。


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Doolin-Dalton/Desperado Reprise


https://www.youtube.com/watch?v=bacQsuyHq-s



Well the stage was set the sun was sinkin' low down

 さあ、ステージはセットアップされた。日が沈んでいく。

As they came to town to face another showdown

 そして彼らは新たな勝負にやってきた。

The lawmen cleared the people from the streets

 保安官達は通りから人々を追い払いながら言う。

"All you blood -thirsty bystanders, will you try to

find your seats?"

 「血に飢えた人々よ、良い席を見つけたかい?」

Watch 'em duelin' Doolin-Dalton

 人々はデューリン-ダルトン団と保管官達の決闘を待ちに待った。

High or low ,it's all the same

 手の内はハイカードか?ローカードか?そんなことはどうでもいい。

Easy money and faithless women

 盗んだ金にうわべだけの女。

You will never kill the pain

 そんなもんじゃ痛みを癒せないんだ。


Go down, Bill Doolin, don't you wonder why

 町に行くんだ、ビル・デューリン。疑問なんか捨てちまえ。

Sooner or later we all have to die?

 遅かれ早かれみんな死ぬんだろ?

Sooner or later, that's a stone-cold fact,

 遅かれ早かれ、それは冷たい石と同じくらいに事実だ。

Four men ride out and only three ride back

 四人馬に乗り、帰りは三人になる。(お前が死ぬのさ)


(ここから同じアルバムの5番目に収録されている曲「ならず者」の中盤のメロディーが再現される)


The queen of diamonds let you down,

 ダイヤのクイーンはお前を失望させた。

She was just an empty fable

 だって彼女は単なる空想さ。

The queen of hearts you say you never met

 ハートのクイーンには会ったことがないって?

Your twisted fate has found you out

 お前の捻じくれた運命がお前を見つけ出して、

And it's finally turned the table

 最後の手を配ってくれたんだ。

Stole your dreams and paid you with regret

 お前の夢を奪い取って後悔を味あわせたね。


Desperado

 ならず者よ・・・

(Is there gonna be anything left, is there gonna be anything?)

 (他に何か残ってないのかい?他の何かが?)

You sealed your fate up a long time, long ago

 お前は自分から自分の夢を奪ったんだ・・ずっと昔に

(Ain't it hard when you're all alone in the city rain?)

 (町に振る雨に一人濡れてきつくないかい?)

Now there's no time left to borrow

 ああ、もう借りる時間もない・・

(Is there gonna be anything left?)

 (何か残されたものはない?)

Only stardust

 星屑だけさ・・

(Maybe tomorrow)

 (多分、明日になったら)

Maybe tomorrow

 ああ、多分明日に。(明日があれば・・・)

Maybe tomorrow

 

Desperado

 ならず者・・・

Desperado



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