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「コンビニバイトは最後まで取っておけ…って竹兄前に言ってたよね」


「オマエは何になりたいかを捜さなきゃならない分、ちょっとだけ俺とシャケより遠回りってだけだ。ちゃんと悩んでるお前は、解らないまま流されてく周りの殆どの奴よりずっと真面目に将来考えられてると思うぞ?だから――胸張れよ」


隣から頭に手をのせてよしよし。って撫でてやったら。


またニコニコと嬉しそうに小野は頷く。


「ふーん…ヾ(=ε=)」


シャケがビミョーな顔して鼻鳴らしながらテーブル挟んだ対面から俺達のこと眺めてる。


「何だよシャケ」


「俺轟君からそんな風に褒めてもらった事無い」


「おいおい。シャケ兄が俺みたいに喋って褒めたらどうなるんだ?」


シャケはぽかん、と口を開けたまま、斜め上を見上げながら何となく想像してみたんだろう。暫くしてから眉がぎゅう、って寄ってきて苦悶の表情に変わった。


「轟君が俺のコト褒めるなんて…嘘くさい」


「だろ?」


普段喋らない奴が雄弁に話を始めたら、俺だって疑ってかかる。


「何も言わないのが、アイツの中では一番オマエを褒めてる時なんじゃないの?」


「そうだね――そうかもしれない」


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