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二杯目のココアもやっぱり真剣な顔でマシュマロをつついてる成瀬に。


「――じゃあ。旨いモノ飲みながら順番に話してみようか」


俺が飲み終わったカップをテーブルの端に避けて、頬杖を衝いて対面から促したら。


「…何を?」


「トボけるんじゃないよ。どうしてあんな奴らに追っかけられてたんだよオマエは」


「――…」


困った顔で答えを探す成瀬は。マシュマロの角がまだ浮いて見える状態でスプーンを置いてこっちを見た。


「イチイチ相手にするのが段々面倒臭くなってきたんだ」


成瀬の話によると。1か月前転校してきた当初は様子を伺うみたいに、遠巻きで誰にも話しかけられなかったようだ。


「そりゃあそんな気合い入った髪型で…おっかない顔されたら誰も近寄らないぞ?」


「だって前の学校で顔が女みたいだって言われたから。顔は変えられないし」


成瀬が以前居た某地方の田舎の学校で突然こんなコトをしたら、周りから引かれるわ教師から指導受けるわ養い親が困惑するわでさぞかし騒動になっただろう。


「仕方ねェだろ。御前パッと見『女子か?』ってくらいカワイイ顔してるぞ?」


不機嫌さを隠しもせずに鋭い視線で睨まれるけど怖くない。


「使えるモノは使ったらいいんじゃねーの?世の中残念な顔の人間の方が圧倒的に多いんだし。御前は恵まれてる」


俺が御前さんの顔で生まれてたら、もっと面白おかしく人生送るのになぁ。


「――俺は。竹丘さんみたいに生まれたかった」


カッコいいし。背が高いし。と持ち上げられて悪い気はしない。


「――そうだろそうだろ?俺は次に生まれるならまた自分になりたいもん。カッコイイし、背が高いし、頭もイイし」


って腕組んでソファの上で少しふんぞり返ってやったら。


「竹丘さん。そういうコトって普通自分で言わないだろ…」


成瀬が苦笑いする。


「――大分脱線したな。それで?転校当初誰にも話しかけられてなかった御前がどうして追いかけられるまでになったんだ?」


「向こうの学校では放って置かれたから良かったけど。こっちでは全然違うんだ。『調子に乗ってる』って言われた」


「あー。まぁ、何処かの集団に属してそのうちの一人になってないと、オマエみたいな奴にはツラいかもしれないなぁ…」


初めは同学年のヤツだけだったけど。そのうち3年の教室からも見に来るようになったらしい。


まあ全校生徒400人程度の学校だから。成瀬は可愛い顔に尖った髪型で目立って仕方ないだろう。


「2週間くらい前、名前覚えてないけど多分3年生に腕掴まれて校舎裏に連れてかれたんだ」


まさか気に入らないからって寄ってたかって殴られて蹴られたのか?


「――殴られそうになったから避けて…足を引っかけたら勝手に転んで。蹴られそうだったから避けて体当たりしたら勝手に転んで…。その後逃げた」


成瀬は相当反射神経はいいようだ。


「御前…避けるだけにしておけよ。脚引っかけたり体当たりしたりしたらバカ共を余計に煽るだろ」

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