3
その日は2学期の中間テストの中日で。昼過ぎに下校時間になったから。
久我山にある某都立高校に通ってた俺は。ファーストフード店でコーヒー飲みながら、明日のテストの教科書や参考書開きながら2時間近く過ごしてたけど。
人混みの中でも何時も集中できる俺が今日はあんまり乗れなかったから。2時過ぎには電車に乗って帰る事にした。
最寄駅前の自転車置き場でマスターピースのバックパックを担ぎ直してスタンド外して自転車に跨ったけど。
時刻は3時過ぎ…
『厨2だと…そろそろ…下校時刻じゃね?』
よしよし。たまには迎えに行ってやるか。なんて出来心を起こした俺は。自分の母校である某中学校に向かってハナウタ交じりでペダルを踏みだした。
10分しないうちに某中学校前に着いて。校門の脇で何となく自転車に跨ったまま待ち伏せしてた。
3時半。多分6時限目の終わりのチャイムが鳴り始める。
いよいよ奴が出てくるだろうと待ち構えてたら。
チャイムが鳴り終る頃ものっそい勢いで昇降口から駆け出して来る奴が居た。
俺も大概に中学は下校早かったけど。
「おーおー。そんなにガッコがキライかね~」
アノ分じゃチャイム鳴りだした途端教室飛び出したな。なんて苦笑いしてたら。
――あ。
「成瀬じゃねーか」
何をそんなに急いでいるのか。必死な形相で校門に向かって走ってくるから。
出迎えようと手を挙げて。
「おー!成瀬!御前さんが下校いちば…「逃げてっ!!!」ん?何?」
俺の横を何か叫んでから走り抜けた成瀬は。
「イイから早く逃げてってば!!俺に構うなよ!」
振り返るのも面倒だとばかりにダッシュしたまま俺に言葉を残して走り去ろうとするから。
俺に命令するとは厨2の癖にいい度胸だ。
面白そうだから自転車のギア上げてペダルを踏み込んで。あっという間に成瀬の横に追いついたら。
「バカ!!竹丘さんなんで…ついて来んだよー!!」
同じ方向じゃダメだ!なんてダメ出しまで喰らった原因は直ぐに解った。
――待てコラァ!!
――成瀬ェ!即ブッ殺してやるからなァ!
後ろの方から怒号というか…おっかない台詞が沢山聞こえて自転車乗ったまま振り返ったら。
何か5~6人の集団がこっちに向かって走ってくるけど。
成瀬はコイツらを捲くためにチャイムが鳴ると同時に教室飛び出してダッシュしたんだろうなと思ったら。
何だか思ったより面白いヤツで親近感が持てた。
「あー。何だ。追いかけっこか。毎日構ってくれるトモダチが出来て…良かったな、成瀬」
「ちーがーうー!!」
必死に首を振りながらも走り続ける成瀬に。
「解った解った。じゃあ…落ち着ける逃げ場所あるから着いてこい若人」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます