はじまりの音#1



「雷道!なぜ、音色を連れてきたのじゃ」

「勝手についてきただけだ」


「季節、ここはもう戦場だ」

「わかっておる、だからこそじゃよ」


数が異常に多い。音色の命を最優先に考えなければ、わしの弟子。

絶対に死なせるわけにはいかぬ。


冷静に戦える訳がない。

音色には、すまないが、わしが終わらせる。


季節と待月たいげつの一瞬の剣戟が、流れるように、敵を切り裂いていく。


雷道らいどうとクエイクが一度に大量の汚物を砕き斬る。


風鳴師範かざなりしはん!わたしもいけますッ!」


「詠唱しつつ、斬ります!」


「蹴散らすの、ノイズ全てを」


他の邪念は今の私には、雑音でしかない。意識を向けるのさえ無駄だ。

これまで感じたことがないほどに、ばくばくと音を立てるほど、胸が高鳴ってる。


「....ヴォイス!!!」

音速でやつらのうちの一体を切り裂く。


「ディーヴァ、力の配分を考えよう、落ち着いて」


「うん、溢れる力の行き場がない感じでさ、止まれないんだ」


雷撃が落雷する振動


肉を切り裂く暴風


私だって戦えるようになった。

お母さん、お父さん。あたしついに仇を討つわ。



戦場を巡る音が響く速度と同等に、辺りを駆け抜ける。

音色の振るう刀によって、喪心の死体が量産される。



「捉えたァ!!」

全速力で地面を蹴る、蹴る、蹴る。


敵罹患者を補足、精神世界の展開を急ぐ。


「ヴォイス、力を貸して」

「いいけどさ、君の身体が壊れたら、それは負けだ」


「頼むよ、ワンダーの出力を抑えて」

「今あいつを逃がしたら、後悔するわ」


「ディーヴァ、僕の使命は、君を守ることだ」

「使命?私に力を貸すのが使命よ」


「違う、それは僕が決めることなんだ」


わたしの刀、音切おとぎりを折らないよう細心の注意を払いつつ、斬撃する。




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