探求

薔薇の庭園

「花開け、薔薇の記憶、由来するよ、ゲルニカ」


広い庭園で一人の幼い女の子が、花壇の前の地面に、足をつけしゃがみこみ、花の世話をしている。じょうろで水をあげる女の子はとても楽しそうだ。


その女の子のお気に入りは、この美しい薔薇だ。

「お花さんお花さん、もっと綺麗になあれ~♪」


花に対して声と水を掛けている少女、水を貰っている花達も嬉しいと言わんばかりに風に揺れている。


ずっとこんな時間が続けばいいのに、少女がそう思っていると、屋敷から一人の中年の女性が庭園に足を踏み入れる。

その人物は、幼いこの女の子を探していたのだ、見つけた矢先こう言い放つ。



「また土いじりなんかして手が汚れますよ お嬢様。怒られるのは教育係であるわたくしなのです。屋敷へ戻ってください」


「土いじりなんかじゃないよ。」

「これもガーデニングのお勉強、淑女の大切な教養でしょう?」


その少女は、言論で戦う。

今は、その手で花だけに触れていて欲しい。


「本当に生意気な子、暗くなるまでには屋敷へ戻りなさいね」

ずかずかと綺麗な庭園に足を踏み入れ、幼い少女の心にも土足で踏み入る人物は

即座に屋敷に戻っていった。



「なんであんなにカリカリして怒ってるんだろうね。この綺麗なお花達が目に見えないのかしら。あなた達を見ているだけで素敵な気分になれるのにね」


花々は、嬉しそうに左右に、上下に、斜めに揺れている。



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