第3話 プロローグ
私の「今」の名前を教えてあげます。
私は蒼乃っていいます。
一人称は「私」と「あおたん」と「あおの」とみっつ使い分けています。
あおのにはお友達がさんにんいます。
ひとりはナリくん。ナリくんはあおののことをいつもからかって、悪い方向に引っ張っていこうとする小学校三年生みたいな男の人です。あおののすべてを知らないから、あおのもナリくんにはあおののきれいな部分だけを見せてあげています。そう、今は。
ふたりめは新月です。新月と私は聖書研究をする唯一無二の親友です。新月がいなければ私は人生がもっともっと重いままだったと思います。新月の美しさは誰もが息をのむほどだけど、新月の苦しさとか卑しさは私が一番知っています。逆もまた然りで新月は私の汚さを誰よりも知っていて、なおかつ私を受け入れてくれます。だから新月のこと、私は誰よりも恐れています。
さんにんめはエンさんです。エンさんと出会ったのは幼稚園の時でした。メガネをかけた、小柄な男の子でしたが、中学を卒業するころには、とてつもなくかっこいい男の子になっていました。眉をそり落としてしまったようなそんな雰囲気でも優しさは残っている事、私はよく知っていました。エンさんとは大人になってもいまだに付き合いがあります。180度変わってしまった今でもエンさんは私を「あおのさん」と昔と変わらず敬意をもって呼んでくれます。だからか、エンさんには昔と変わらず素直な気持ちで「大好き」と伝えています。
ナリくんも新月もエンさんも私の唯一無二の親友です。三人がどんな気持ちであろうと、私にとって三人はいつだってそれぞれにおいて唯一無二の親友です。たとえ、その瞬間に体を許さなければ時が過ぎないような状況でも、私と三人は永遠に、代々限りなく親友です。
ナリくんとデートをしても、私の心には新月とエンさんがいるし、新月とキスをしても心ではナリくんとエンさんとキスをしているし、エンさんといつものごとく体を合わせてもその瞬間左半身にはナリくんと新月が私の魂に侵入しています。
今日もまた、ナリくんに会います。明日もまた新月と聖書研究をします。明後日はエンさんとごはんを食べます。これが「今」の私です。
三人がどう思おうと、あおのにとって三人は親友です。そ
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