第2話 無間地獄を知る‐四方の大将‐
私に付けられた名前や、生まれたときの日時を追っていくと、不思議なことにぶち当たる。
そう、この瞬間のためにこの復活を経て得た新しい自分のためにすべてを用意されていたことに気づくのだ。
登場人物を紹介しておこう。彼らにも「今」の名前はあるが、この名前は「今」であり永遠ではない。そして、私もまだ彼らの本当の名前を知らない。私自身の本当の名前もまだわからない。
ひとりめは、「ナリ」だ。ナリとは偶然の出会いだったが、私はすでに才能があったため予知をしていた。偶然多すぎとか、どうしてわかるんですか?とその時々で派手に驚くが、私は真実を話したりしない。最終的に彼自身が受け止めねばならない運命であり私が進言や忠告しては意味がない。どうしてか?私は予知できるからであり、出会うべきして出会わなければすべての歯車が動かないからだ。そう、ナリもまた歯車のひとつだから。彼から見られるパワー、それははじまりを意味する。南の大将であることもまた彼はまだ気づいていない。
ふたりめは「新月」である。新月は私以上に奇妙奇天烈なパワーを秘めて生まれた存在だ。それに彼が気づいているのか、どうなのか。それはまだ調べていない。新月は良くも悪くも男性性特有の執着と独占と嫉妬にまみれている。しとやかさを演出しても私の眼には嘲笑の対象にしかならない。それを彼が知っているか、それもまだ未調査事項だ。彼から見る混沌の中にあるはっきりとした黒、それこそが彼の生まれである終わりのはじまりを意味する。彼こそが西の大将だ。
さんにんめは「エン」としておく。エンとはまだ私が始まる前からの知り合いであり、私のすべてを知っているからこそ今のこの無間地獄に落とされた私に、私と共に戸惑てくれる唯一の存在だ。彼は東の大将である。エンは新月と同じ色を気配として出す男であるが、新月よりもプライドがないところが私は好きだった。今、この無間地獄に置いて大好きと素直に言えるのはエンだけだ。
さて、残る北の大将であるが、それが私だ。
北は生と死を司る。南は命を司る。東ははじまりを司り、西は終わりを司る。
世界は4極の大将が掌握している。はじまりを示す東の大将、エンに出会ったことで私は精神を病んだ。南の大将であるナリと出会ったことで、明るさを取り戻した。そして西の大将である新月と出会って私は戦う運命を知らされた。
世界には日本だとかアメリカだとか中国だとか、先進国だとか後進国だとか様々なカテゴライズがある特定の人々によってなされているが、世界は実にシンプルな秩序に基づいて今日も動いている。そう、戦争があろうと疫病が流行ろうと、根源的で世々限りないことは多くはない。
世界はいつでも無間地獄であり、4極の大将の覚醒により戦いが始まり、そして新しいステージへと地球が押し上げられる。大将という自負以外に印は与えられない。そして、この世が新しいステージに上がった後も誰も彼らが英雄だとは知らず、人は死んでいく。ただ、大将だけは永遠に生き続ける。そのことを知ることが許されるのもまた、大将のみである。
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