敗北

休日だったので散歩がてら


幼い甥を連れ近所の公園へ


甥が砂場で遊びたいと言うので


近くのベンチに座って様子を見てた


砂場にはもう一人


甥と同い年くらいの女の子がいて


甥と女の子は直ぐに打ち解けたらしく


一緒に遊んでいた


コミュニケーション能力高いなあ


なんて微笑ましく思いながら見ていると


二人が


「ラクマー!


こっち来てー!!」


と手招きしだした


「どうしたのー?」


砂場に近づくと二人は一点を指差し


「ここ踏んでー!!」


よく見ると


そこには薄いビニール袋が敷いてあって


落とし穴である事は一目瞭然だった


あー落とし穴


私を落とし穴に落として


きゃーきゃー言いたいんだね


もう可愛いなあ!


わかったよー


引っかかってあげるよ♪



私は砂場に入ると落とし穴に近づき


キラキラと目を光らせる二人の顔を見つめながら


ビニール袋を思い切り踏んだ




言葉を失った…


じんわりとスニーカーに染み入る冷たい感触


え?


これってもしかして…


水ーーー!?



「きゃー!!」


幼い二人の歓声が聞こえた


引き攣りながら二人の顔を見ると


無邪気な笑顔で喜んでいる



知らなかった


あんたたち


いつの間に水汲んで来てたの!?


引っかかった振りで喜ばせてあげようと


思ったのに


上を行かれたわ…


私は無言でその場を立ち去ると


水道がある場所へ行き


泥水で汚れた淡い色の靴下を洗った


排水口に流れていく濁り水が


なんとも言えない


敗北感を物語っていた

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